ゼネコンも月面建設に意欲
――最近では、ゼネコンも月面の技術開発に意欲的ですね。
増 つい最近では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と鹿島建設が月面拠点の無人建設プロジェクトを共同で進めており、各ゼネコンも無人化・遠隔化技術の現場での導入も活発になっていることについて、大いに参考にしています。
ただし、有人のオペレーターが現地状況を見ながら無人化施工するのと比較すると、月面での無人化施工は技術的難易度が高い。施工計画やステップを踏まえながら、どう施工していくかもポイントで、施工管理者のノウハウも含めて自律化・自動化していくことも含めるとハードルが高いので、国としても支援していければと考えているところです。
特に、施工の段取りの部分と建設機械のオペレーションに、いかに自動化・自律化を組み込めるかが課題で、その2点に留意しつつ開発推進できればと思います。現場の状況を把握しつつ、設計通りにいかに最適に施工するかのノウハウを利用する場面も必要になると考えます。
――実用化まであと5年ですが、オールジャパンでの対応になるのでしょうか?
増 この5年間で無人建設に係る各種の基盤技術をどれだけ高められるかがポイントになります。宇宙開発は各国と競争しつつ、共存している部分もあり、日本の建設技術の強みを結集して、宇宙開発にも有効に活用できればと思います。
今回決定した技術は、調査、基礎、運搬、施工、建設機械のハードとソフト、建材、簡易施設と、これらが組み合わされて、一連の月面での建設活動が実現され得るものと考えられます。そのため、地上の建設現場での実証等を行いつつ、シミュレーション等デジタル技術も駆使して、地に足を付けた開発を進めたいとおもっております。そして、今回連携する文科省とJAXAの皆様とも協力して、我が国の建設技術が国際的な宇宙開発を牽引できるような取り組みにできればと思います。
さいごに余談ながら、今回プロジェクトイメージを作成したところですが、これは、各開発者から開発を目指す3Dモデルをご提供頂き、それを組み合わせて作成しました。今後、開発の進捗に応じてこのイメージを精査し、いつか現実のものとなることを目指して参りたいと思っております。