TOTO株式会社(清田 徳明社長)はこのほど、東京都渋谷区にあるビジネスユーザー向けの提案施設「TOTOテクニカルセンター東京」 をリニューアルした。テクニカルセンターは、ビジネスユーザー向けに水まわりの最新情報の発信、提案をおこなう施設として、1996年に開設。現在国内では、東京、名古屋、大阪、福岡の4拠点に設置している。
不特定多数の人々が利用するパブリックレストルームには、時代とともに求められるさまざまなニーズや課題が存在する。テクニカルセンターでは、これらのニーズ・課題に向き合い、建築の専門家の顧客と共にコラボレーションし、より使いやすい、快適な水まわり空間を生み出してきた。
今回のリニューアルのテーマは「Fine & Flow」で、「自由かつ繊細な美しい水のふるまいと途切れのないシームレスな遷移」を表現している。水まわりのプロフェッショナルならではのこだわりと、TOTOの確かな品質を伝え、デジタル時代にあるべき提案施設を目指す。
よりフレキシブルに、多彩な提案活動を可能にするため、デジタルインフラも増強。TOTO独自のテクノロジーもこれらデジタル技術を駆使し、実機を使い体感することを可能とした。
今回、TOTOは「テクニカルセンター東京」をなぜリニューアルしたのか。また、建築の専門家とともに進めてきた「共創」とはどのようなものか。
旺盛な再開発によりパブリックトイレの需要が伸長

オフィスコーナー
パブリックトイレとは、オフィスや商業施設など非住宅のトイレ全般を指し、現在、TOTOはこの分野を強化している。トイレをはじめとするパブリック商品の採用が活発になっているが、その背景には高度成長時代やバブル時代に建設されたビルが更新時期を迎え、東京都内や有力地方都市の再開発が旺盛となっている点が大きい。また、コロナ禍が終息して観光地を中心にインバウンド需要も回復し、その流れは地方にも拡大している。そこでビルの改修やインバウンド対応に向けた投資も堅調に推移するため、オフィスや商業施設などの非住宅のパブリックトイレへの投資も活発になることが期待されており、ますますこのテクニカルセンターの役割も重要になる。
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パブリックトイレは住宅トイレと異なり、利用者、管理者、施主が違い、それぞれに配慮が必要なため、ユニバーサルデザイン(UD)の視点が不可欠で、社会変化や法令を先取りしながらUD視点でのものづくりや提案活動を進化させてきた。TOTOでは、戦前の名建築「第一生命館」に最高級のトイレを納入、1968年の「霞が関ビルディング」では、配管ユニット、衛生器具、仕上げ材を組み合わせた「サニタリーユニット」を納入し、工期短縮に貢献した。TOTOが提案するパブリックトイレは一日の長の歴史を持ち、1980年代からは清潔で、パブリックトイレ空間の普及に向け、トイレ空間の提案活動の積極的な取組みをスタートしているところだ。
1980年代からの歴史を見ると、バブル景気、大規模小売店舗立地法の施行、インバウンドの増加、そして最近ではコロナ禍をはさんで働き方、オフィス、顧客の意識などの変化をもたらしてきている。同時に駅やデパートのトイレのリニューアルの加速、オフィスや商業施設のトイレの進化を経て、おもてなしトイレも誕生し、最近では非接触のニーズが高まっている。時代の変容と共にTOTOが提案するパブリックトイレも次々と変化しているのだ。