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クリエイト礼文が描く“住まい”起点の地方創生「社会的備蓄」と「エリア型PPP」で挑む山形のまちづくり

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公開日:2026.01.20
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県内初のPark-PFIで公園再生「KASUMI TERRACE」

――もう一つの柱である、山形市でのPark-PFI事業についてもお聞かせください。

大場社長 2025年6月、県内初のPark-PFI事業として、山形駅前公園に「KASUMI TERRACE」を開業しました。かつて駅前の一角は「暗い・使われない・通過点」となっていましたが、民間主導の整備によって、昼は市民、夜は観光客が集う「滞在の場」に生まれ変わりました。滞在時間が大幅に増え、公園が「都市のリビング」として機能し始めています。

「KASUMI TERRACE」のオープニングセレモニー

「KASUMI TERRACE」のオープニングセレモニー

建物は20年の借地契約をし、自己投資しました。公園は数年前に基盤整備をしているため、公園の維持管理費はほぼかかりません。Park-PFI事業のたてつけである「公園を無償で管理する一方、ビジネスを認められる」という形で、プロポーザルでは「当社が責任をもって公園とともに管理し、山形市の貴重な一般財源から予算を捻出する必要がなく、公園での施設は十分事業として成立するため、持続的に行う」という点が評価され、採択していただきました。

――どのような施設になっているのでしょうか。

大場社長 「KASUMI TERRACE」は、昼はカフェ、夜はダイニングバーという二面性を持たせ、幅広いライフスタイルに対応できる空間としました。地元食材を活かしたイタリアンをベースに、屋外テラスを活用したオープンガストロノミーを特徴としています。さらに、地域団体や市民と共催するイベントを組み込み、公園そのものを「公共性と商業性が両立する場」としてデザインすることで、単なる飲食事業ではなく、エリアマネジメントの核として設計し、公園の風景や市民活動と調和した「まちのにぎわいを創出する拠点」として機能しています。

「KASUMI TERRACE」の内装

「KASUMI TERRACE」の内装

成功の要因は、行政・住民・事業者の三者が果たすべき役割を明確化したことです。行政は「まちづくりの戦略拠点」として位置付け、住民にとっては「日常の居場所」となり、事業者にとっては「持続的な商業舞台」となります。この三位一体の設計思想が、駅前公園の再生を可能にしました。

「KASUMI TERRACE」の地域は花笠まつりで有名で、花笠商店街と名付けられるエリアもあります。山形県内では出羽三山、銀山温泉、蔵王、山寺など観光資源は豊富に恵まれていますが、山形駅前で訪日外国人が楽しんでいる風景はまだ多くみられていません。ただ、山形人は「飲みに寄ってよ」と気軽に声をかけるような人が好い県民性なので、その環境を整えていくことが次のフェーズだと考えています。

「KASUMI TERRACE」の屋上テラス席

「KASUMI TERRACE」の屋上テラス席

「民営」視点のエリアマネジメントで、持続可能な地域経営へ

――今後の公民連携の方向性についてお聞かせください。

大場社長 PPPについては「財政制約下の行政代替手段」ではなく、「地域を持続可能にする経営手法」として進化すべきだと考えます。従来は公共施設の整備や維持管理の一部を民間に委託する形が中心でしたが、それでは「縮小均衡」に陥るリスクがあります。

私が思うPPPの成功は、民設民営化や公設民営化のいずれかです。公民連携は大切なワードで、とくに民間が企画し、運営することが肝要です。従来は指定管理が長く続いた結果、ニーズがアンマッチした事例が数多くあり、使用されない未利用の空地や建物の存在が課題となっています。日本はこれから人口が減少していきますが、山形のような地方で若者の定住を促すためには、民間による提案のほうが若者のニーズを把握した施設の整備がしやすいと考えています。

具体的な手法では、地域全体の経営視点でPPPを設計する必要があると考えています。当社単体で事業を成功させるのではなく、エリア全体で検討し、地域全体の経営視点で進めるべきです。その中で当社としては住宅・不動産・飲食・観光など多様な事業を展開している強みを活かし、複数の収益モデルを束ねることで、公共施設の運営に安定した収支基盤を提供します。単一施設の採算に依存せず、周辺エリアや他事業とのクロスセクター連携によって収益を循環させる「エリア型PPP」が重要です。

Park-PFIについても、制度上、単体施設の採算性が課題になりやすいですが、当社は「エリアマネジメント」と組み合わせることでその限界を補完しています。複数施設・複数事業を束ね、全体で収益を循環させる仕組みによって持続可能性を確保します。

今後は、山形駅前公園で得られた知見を他地域にも展開し、単なる公園整備ではなく「地域の未来をどう描くか」を議論の中心に据えていきたいと考えています。公園は街の象徴であり、都市を変える力を持ちます。だからこそ、公民連携の舞台として最適な空間であると確信しています。

――単体の収益にとらわれない「エリア型PPP」という考え方は非常に重要ですね。モデルケースとして参考にされている事例などはあるのでしょうか。

大場社長 海外事例に学ぶ点は大きいです。たとえばスペイン・サンセバスチャンでは、公共空間を舞台に食文化と観光を結びつけ、日常生活と観光需要を両立しています。各地域の特性を読み解いて、地域の方とウィンウィンの関係を築き、地域の方にもメリットがありつつ、私たちもそのエッセンスを取り入れつつ、「山形らしい公共空間」を基盤としたPPPを広げ、運営していきます。

空き家や遊休不動産の再生、災害対応住宅の社会的備蓄、観光と居住を複合化する新たな都市開発など、公民連携の可能性は拡大しています。山形県内の地方自治体は成功事例を見て動く傾向があります。今回、山形市の県内初のPark-PFI事業での成功事例も誕生したので、様々な手法をもとに公民連携を提案したいです。たとえば、舟形町で住んでいただく方の定住型の戸建て住宅の提案、山形市内でPark-PFI事業では2か所、他の地方自治体でも数か所実施する予定です。

地元を熟知し、ニーズを把握しているのは地元の地域密着型の企業です。当社は「建築会社」という枠を超え、都市と地域をマネジメントする立場として、公共資産の最適化と地域経済の循環に貢献する事業モデルを推進していくつもりです。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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