「施工図チェック」の基本的な3つのチェックポイント
施工図チェックの基本中の基本は、「設計図の情報を正しく施工図に記載すること」です。施工図はあくまでも設計図を施工できるレベルに落とし込んだ図面なので、設計図ベースが基本です。私が施工図をチェックする際に、まずチェックしている3つのポイントは、次の通りです。
- 全ての符号が間違っていないこと
- 全ての寸法が間違っていないこと
- 建物として整合性が取れていること
どれも当たり前かもしれませんが、とても重要です。きっと建築施工管理技士の皆さんは、施工図のチェック方法について誰かに教わったとき、同じことを言われたはずです。
しかし、正直なところ、符号や寸法のチェックは、「やらなければいけない」と頭で分かっていても、面倒臭いものです。しかも、符号や大きな寸法という基本的事項は、施工図を書く段階で間違っていないはず、という思い込みが誰でも少なからずはあるのです。
しかし、油断大敵! 施工図チェックを怠ると、大変な目に遭うことがあります。
「施工図チェック」を怠った場合の失敗事例
まずは符号についてですが、符号のチェックを怠って10個あるFG1の符号が、実は1つだけFG1Aであったため、コンクリート打設前の配筋検査で指摘され、型枠をバラして配筋し直したりする事例はいくらでもあります。
次に寸法ですが、私も、通り芯の寸法を危うく間違って施工しそうになったことがあります。少し複雑な建物であれば、通り芯(A)の隣に(A’)や(A2)などの通り芯が書かれていることがあります。寸法をおさえる位置がバラバラであり、それぞれの通り芯の距離を知るには、計算機が必要な設計図でした。そのせいか設計図の平面詳細図の通り芯の寸法が間違っていたのです。そして、その寸法の数字を「正」であると勘違いして図面をチェックしていきました。幸いに、施工図のチェックの最後のほうで建物の辻褄が合わなくなったため、間違いに気づいて難を逃れたこともあります。
3つ目に、建物としての整合性が取れているか、についてですが、意匠図と構造図の不整合という現状で、皆さんの目に触れることが多いのではないでしょうか?
例えば、
- 意匠図にはない柱が構造図に記載されていてサッシが納まらない
- 構造図の梁が思いっきりサッシと干渉する
- MBの下が大梁で縦管を全く通すスペースがない
などは、私自身が実際に体験した不整合のほんの一部です。なので、当たり前と思えることをしっかりとチェックすることが、施工図チェックの基本です。
>土木の現場は設計図だけで仕事ができてしまいます。
建築から土木はこのように見えるのですね。驚きです。