ICT活用施工への関心は高いが、実績は11%
群馬県建設業協会会員のICT活用施工の関心は高い。今年2月に実施した「ICT活用施工に関するアンケート調査報告書」(279社中268社回答)によると、経営者・技術者双方の立場で関心度の度合いは80%を超えている。完工高が多いほど関心が高い傾向が見られた。その一方、社内で勉強会・研究会を組織しているのはわずか8社。しかも「ICT活用施工の実績」は11%に留まり、45%は「ICT社外への講習会・見学会に参加」とのデータが明らかになっている。
現在、国土交通省関東地方整備局は、ICT施工現場見学会を都県単位で実施しているが、多くは建設機械メーカーなどによるデモンストレーションが中心。そのため、技術者自らが体験する機会は限られているのが現状だ。
「実際に体験することが重要です。すでに国土交通省のみならず、群馬県レベルでもICT施工は実施されています。総合評価方式で工事成績評点の加点だけでは、地域建設企業が実際にICT技術を習得しようという動機づけは薄い。実際に学べる環境が重要」(青柳会長)
報告書では、ICT活用施工への関心は高いが、地域密着型企業まで企業文化として定着させることがポイントであると総括している。報告書を受けて、「ICT土工研修」を実施することに決めた背景がある。
他県も注目する群馬建協の「i-Construction対応 ICT土工研修」
他県もこの「i-Construction対応 ICT土工研修」の開催について注目している。
「今後、ICT土工が進展すると我々も理解しています。しかし、地域建設企業にとって、建設機械の確保のコスト、ICT技術の習得時間など取り組むべき課題が多いのも実情なのです。我々もどのようにすれば会員に普及すればいいか本音を言えば模索中です。その意味で群馬県建設業協会の取組みは、全国規模の建設業協会にとっても注目すべき研修なのです」(他県の建設業協会事務局長)
さらに群馬県建設業協会は、9月~10月にかけて実施するICT研修後、数ヶ月後に再度集まるフォローアップ研修を実施する考えだ。全工程を学んだ会員技術者が数ヶ月後に一堂に会し、現場経験を共有するなどして研修効果を高める。すでに会員会社に呼びかけているが、参加に前向きに意向も示されている。
「お互いの取組み状況や課題を共有することで、会員企業のICT技術力向上につながります。これを数年かけて繰り返して行えば、会員技術者の人脈も固まり、ICT技術における社内の水平展開や、会員会社同士の情報共有が図れることになります。最終的には、土工の生産性は2割アップを目指しています」(青柳会長)
建設業の「夜明け」は群馬県から!
建設業は他の産業と比較して、保守的であり、待遇面などでも劣っている。そのため、担い手確保・育成で大きく遅れを取っているのが現状だ。本来であれば建設業こそが自由で革新的な発想が求められている。
ICT技術もそのうちの1つだ。ICT施工をより広め、i-Constructionを全現場に拡大していく先には、旧3K(きつい・汚い・危険)から新3K(給与・休暇・希望)へ建設業界は大きく転換していく。地域建設企業が再生し、新3Kへと生まれ変わるための第一歩はICT技術の習得だ。
建設業の夜明けは、群馬県からはじまるのかも知れない。
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