空調服も熱中症防止対策に効果大
大和ハウス工業東京本店建築事業部の熱中症防止対策は、ポカリスエットだけではない。空調服も高い割合で作業員の装着が進んでいる。
「大和ハウス工業の社員は作業事務所での打ち合わせなどの作業が中心ですから、この空調服はあまり着ませんが、作業員の方は毎日外で作業をしているため、装着を推奨しています。」(権藤作業事務所長)
熱中症になると高所から墜落・転落する危険性も高まる。めまいや立ちくらみなどで墜落する可能性があるのだ。実際、工事現場の死亡労働災害は、厚生労働省や建設業労働災害防止協会のデータによると「墜落・転落」が約40%を占めている。
「安全帯の着用については本当に口をすっぱくして言っています。安全帯の軽視は命を失うことに直結するほど危険です。移動時はともかく、面倒だということで作業中に足場などにかけない作業員がいないように指導しています」(権藤作業事務所長)
安全帯は、今でも2丁がけが多いが、最近になってより安全なハーネス型安全帯も普及しつつある。厚生労働省や建設業労働災害防止協会も足並みをそろえてハーネス型安全帯を推奨しているが、弱点は費用がかかることだ。
「なるべく安全帯はハーネス型の使用を求めています。基本、安全は様々な視点からの対策が必要ですが、墜落・転落防止対策が最も重要です」(権藤作業事務所長)
無事故無災害は当然 最高品質の作品をお客様に提供する
権藤作業事務所長は、一品一品の現場は作品だと自負する。2004年に大和ハウス工業に入社、横浜支店(現横浜支社)から6年前に東京本店に異動した経歴の持ち主だ。
「横浜支店(現横浜支社)では、食品工場や倉庫建設を手がけ、東京本店異動後、スーパー(店舗)、マンション、老人ホーム、今回のホテル棟と、1つとして同じ形態の建物を建設していません。さまざまな建物の施工を楽しくやっています。仕事は基本、楽しさが大切です。気持ちを込めて作品をつくる心構えで業務に邁進しています」(権藤作業事務所長)
そして、その業務で大切なのは、何よりもコミュニケーション。多くの現場代理人は声をそろえてコミュニケーションの大切さを説くが、権藤作業事務所長も例外ではない。
「言葉では伝わらないことでも、絵や図面をもって説明すれば伝わることが多いです。大事なことは繰り返し説明します。この現場では、朝礼だけではなく、昼礼もありますが、作業が変更になった際も、しっかりと説明するように心がけています」(権藤作業事務所長)
その権藤作業事務所長は、基本の徹底を重視する。今は当たり前のような話だが、建設現場における4S・5S運動の重要性を説明する。ちなみに4Sとは、「整理・整頓・清潔・清掃」、5Sとは4Sに「躾」を加えた理念で、建設業界だけではなく製造業界でも広く活用する理念だ。
その基本の実践は、この工事現場で見ることが出来る。ちりが1つも落ちておらず、現場の統一感、作業詰め所の中でも整理整頓がしっかりとなされている。権藤作業事務所長の理念である「凡事徹底」が具現化された現場であると言っても良いだろう。
このほかにも興味深い取組みとして、権藤作業事務所長は作業員同士がマッサージすることを実施しているという。昼礼の際に、作業員同士が肩もみをし、緊張感や身体をほぐしている。
「これもコミュニケーションの一環です。みなさん楽しくやっていますよ」(権藤作業事務所長)
建物を一品一品つくる作品づくりには厳しさがあるものの、現場監督や作業員には思いやりを持つ権藤作業事務所長の優しさを垣間見た気がする。ポカリ50円の自販機や空調服にばかり興味を向けがちだが、権藤作業事務所長のような心構えの技術者一人ひとりが、大和ハウス工業の成長を支えているのだ。
「工事竣工までは無事故無災害は当然のこととして、最高の品質の作品をお客様に引き渡すことが私の仕事です」(権藤作業事務所長)
現場概要
現場名: (仮称)殿町プロジェクトホテル棟新築工事
住所: 川崎市川崎区殿町3丁目101番1
延床面積:約7540㎡(5階建て)
客室数:約200室
建物用途:ホテル
主な機能:客室、レストラン、スパ
その他機能:カフェ、ライフスタイルショップ、ランニングステーション他
ホテル運営:東急ホテルズ
人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!
「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。