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「自分の仕事に感動できるか」が、土木技術者の分かれ道

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公開日:2017.09.27 / 最終更新日:2017.09.29
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20代の土木技術者には頭ごなしに言うか、優しく言うか悩む

施工:土木技術者の育成で心がけていることは?

藤井:植田くんぐらいの年代、30歳ぐらいの技術者は、あまり気をつかわなくて良いんです。仕事をドジドシ出しても、こなしてくれるんです。ところが20代になると、同じことをすると仕事を辞めるんじゃないかと、こっちが不安になるんです。その分、言い方とかに非常に気を使いますね。気をつかい過ぎたら相手も不安になるので、本当に難しいところです。

若者は入社してもなかなか続かないんです。彼らが辞めないためには、本人に仕事を好きになってもらうしかありません。快感とか達成感を味わってもらうことが必要です。そこまでもっていくのに苦労しているわけです。現場では皆が日々同じ目的に進んでいるんだ、ということを感じさせたいのですが、頭ごなしに言って良いものか、優しく言えば良いのか、すごく悩んでいます。

中村:若手に現場を仕上げる感動を味わわせるのは、社長である私の役割です。「現場を仕上げたと言えるのは、担当のお前らだけやで」という話をよくするんです。まず「技術者本人が仕事に感動する」必要があります。その後、「仕事を通して、近隣住民に感動してもらう」という次の段階にステップアップしていくわけです。

われわれのお客さんは役所ではなく、住民です。道路工事をするのであれば、そこをどんな人が通るのかを考えた現場づくりをしなければなりません。例えば、子どもがたくさん通るのに、大人目線で注意喚起してもダメだということです。それに気づく気づかないは、些細なことかもしれませんが、私にしてみれば、技術者のレベルを測る重要な基準です。土木技術者としての幅ですよね。私は大事な能力だと考えています。

新人教育は本当に難しいです。昔は「俺の背中を見て学べ」で良かったですが、最近はそうはいきません。会社側の人間は「辞めた人間が悪い」と考えがちですが、私はわれわれの教え方が悪かったと考えるべきだと思っています。本人の資質の問題はありますが、会社も反省しないと、新人の退職が続いたら、会社経営の致命傷になりかねません。

たとえ資質に問題のある新人でも、極力接点を持って、会社に残ってもらうようにしなければなりません。ただ、辞めさせないことばかり気にするのは、経営的に本末転倒なことだとも考えています。「辞めてもしゃあないな」とドライに割り切ることが必要な場合もあります。

「全員残ってくれたら、ラッキー」というぐらい、土木技術者が欲しい

施工:若者の意識が変わってきている?

中村:昔とは全然違いますね。新人が大丈夫かどうかは、入社して1週間もしないうちにわかるんです。自分の考えや感情を表現できる子は、だいたい会社に残りますね。例えば、「コンビニにめっちゃカワイイ子いてましたわ」などということを自然に言える子です。

藤井:抱え込む人間は続きません。

中村:逆に、人見知りする子は、自分で抱え込むので、危ないです。こういう子のこの部分を開放するのが大事なんですが、ものすごく難しいです。

施工:どれくらい技術者を採用したい?

中村:3人なら3人、5人なら5人全員採用したいです。

施工:来る者は拒まず?

中村:そうです。「全員残ってくれたら、ラッキー」というぐらい、人は欲しいです。

施工:技術者の年齢構成は?

中村:先代の社長が若手をバサッとリストラしたので、今30歳代後半より上がいないんですよ。

藤井:今欲しいのは40歳前後ですね。

中村:リストラの話を聞いたとき、先代社長に「社長のお前がやめろ!」と怒鳴りましたからね(笑)。

中村建設は「依存から自立」への転換のため、社長は役員会に入らない

施工:中村社長に言いたいことなどはありますか?

藤井:私も小さい子どもがあるので、中村建設は続いていってもらわないと困るわけです。万が一、中村社長に大病などされると非常に困ります。今後は、お酒などのお付き合いは控えてもらいたいです。何より私のために、長生きして欲しいですね(笑)。

中村:わかりました(笑)。お付き合いをやめるわけにはいかないのですが、過度な飲酒は控えます(笑)。長生きを言ってくれるのは嬉しいんですが、藤井くんには、私が倒れたときの準備をお願いしたいですね。

藤井:それにはまだまだ時間がかかります(笑)。今は中村社長から投げられたことに対して、必死に取り組んでいる状態ですが、われわれが中村社長にどんどん提案していくような会社にしていきたいと思っているところです。今のそういう会社の方針を次の社長後継者にもつなげていって欲しいです。

中村:お前、社長に立ったらええやん?(笑)

藤井:いやいや(笑)、何をおっしゃってるんですか。

中村:はよ渡せと?(笑)

藤井:そういうことちゃいますやん(笑)。

中村社長「お前、社長に立ったらええやん?」藤井さん「そういうことちゃいますやん(笑)」。中村社長のクロスカウンターが決まった瞬間です。

中村:中村建設株式会社は今、「依存から自立」への転換期にあります。うちは、役員会に社長が入らないんです。藤井くんら5名の役員だけでやってるんです。聞きたいことだけ、私の方から聞くので、社長に対する「報連相」もないんです。変でしょ?

施工:変です。

中村:でも必要ないんです。中に入らないことによって、逆に、会社の状況が客観的に見えてくるんです。ただ、いつなんどき私の質問が飛ぶかはわからないんですけどね。私がするのは最後の承認だけです。

以前は私が会社の年度方針をつくっていましたが、私の要求と彼らの力量に乖離が起こるので、人間関係が壊れていくんです。だから、自分で年度方針をつくるのをやめたんです。今は彼らがつくっています。そうすると、成長が止まると考えてしまいますが、彼らはハードルをそれなりに上げたものを持ってきたんです。これが依存から自立への転換です。今のところ、それですべてうまくいっています。

施工:植田さんは?

植田:僕のために、女性技術者を採用してください。

中村:頑張ります(笑)。

施工:女性の技術者はいないんですか?

中村:一級建築士の女性がいましたが、辞めちゃったんですよ。私は女性技術者に反対ではありませんが、国土交通省は女性を意識しすぎだと思っています。女性技術者を配置したら加点するようになっていますが、やめるべきです。女性に関する施策は、国土交通省久しぶりの空振り三振ですね(笑)。建設会社は、男女を意識せずに採用していますからね。女性にも評判が悪いですよ。「男女関係なく扱ってくれ」という意見は多いです。経営者としては、そういう女性こそ欲しい人材です。

 


 

藤井さんは「なりゆき」、植田さんは「強制」で土木の世界に入られたとのことですが、特に目的や理想を持たずに土木の仕事を始めたところが、現場を経験しているうちに、土木にドップリ浸かったという人は、案外多いのかもしれません。たんに「指示されたものをつくる」のではなく、「自分の仕事に感動する」ことができるかどうかが、土木技術者として伸びていけるかどうかの分かれ道のようです。

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