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「自分の仕事に感動できるか」が、土木技術者の分かれ道

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公開日:2017.09.27 / 最終更新日:2017.09.29
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一つの現場で発注者が別々。社員全員の記憶に残る「修羅場」

施工:これまでで印象に残っている現場は?

藤井:西名阪自動車道まほろばスマートICの現場です。この現場は、NEXCO西日本と奈良県から、同じ場所でそれぞれの工事が発注され、たまたま両方とも中村建設が受注しました。私は奈良県発注の工事現場の所長をしていて、植田くんはNEXCO発注の現場で働いていました。

同じ現場で同じ会社だから、スムーズに工事が進められると考えられがちですが、「一つの現場で発注者が違うとこんなに大変なのか」というぐらい、非常に苦労しました。正月返上で何とかやり切りました。終わったときの解放感たるやモノスゴイものがありました(笑)。

中村:その現場は、藤井くんだけではなくて、中村建設株式会社が受注した仕事の中でも、いろいろな意味で最も大変な現場でした。NEXCOからの発注はスマートインターの設置工事、奈良県からの発注はスマートIC設置工事に伴う側道の移設工事でした。

藤井:現場は毎日が戦争でした(笑)。

施工:どういうところが大変だったんですか?

藤井:うちの工事が終わらないと、向こうの工事ができない、その逆もあった、ということの繰り返しですね。

施工:同じ会社同士の現場でも、そういうことがあるんですね。

中村:同じ中村建設株式会社だったから、これぐらいで済んだんです。別の会社だったら、もっと大変でしたよ。

藤井:別の会社だったら、殴り合いの喧嘩になっていたはずです(笑)。

中村:実質的には一つの現場だったので、一緒に工事をやりながらも、発注者との打ち合わせは、NEXCOと奈良県と別々でやります。すると、ある一つの工事の進め方について、発注者から出てくる答えが違ったりするわけです。言われた現場は「どうすんねん」という話になります。別々の会社だったら、間違いなく殴り合いになっていたでしょう(笑)。「何がスマートやねん、ボケ!」とか言いながら(笑)。

振り返ると、NEXCOの仕事は、受注するまでも大変だったし、受注してからも大変だったし、決算は大泣きだったし、いろんな意味で、全部門が一番心に残る仕事です(笑)。

「使いなさい」ではなく、技術者の「使いたい」を尊重する

施工:植田さんにとって土木のやりがいは?

植田:藤田さんと同じですが、竣工したときの喜びですね。最近、ドローンなどのICT関係の新技術が出ていますが、これによって現場の仕事がどう変わるのか、興味を持っています。今、奈良県発注の富雄川の橋台工事で、初めての現場所長を任されています。迂回路を施工するのに盛土をするのですが、打ち合わせしながら、ブルドーザーとローラーの情報化施工を考えているところです。ICTを実際に使うのは私も初めてで、どれだけ人手が減るのか、スピードがどうなるのか、今のところ全然わかりませんが、中村社長に「使って良いよ」と許可をいただいたので、勉強させてもらうことになっています。

中村:富雄川の現場は、ICT活用指定の現場ではないのですが、植田くんが自主的にICTを使いたいと提案してきた案件なんです。ICT指定は、奈良県発注ではこれまで一件あっただけで、土木技術者としてICTを経験する機会がありません。そのままにしておくと、ICTを使っている技術者との差がどんどん広がってしまいます。費用を考えたら、「ICTを使わんといけ」が正解なのですが、土木技術者としての先を考えたら、「ここはICTをやろう」です。私としては「使いなさい」ではなく、「使いたい」を尊重したわけです。

藤井:中村社長のこういう姿勢は、他の建設会社にはないところだと思います。この現場でICTを使いたい、ついては数百万円かかりますと提案した場合、普通の会社なら「アホか」で終わりです、ところが、中村社長は「やれ」と言ってくれるので、技術者としてありがたいと感じます。

中村:その判断は感覚です。彼らが利益率などをチェックした上で提案しているのを知っているので、よほどのことでない限り、ひっくり返したりしません。社員には「やりたいことがあったら、すぐにやりなさい」と言っています。躊躇したら、人間はやらない方にしか歩まないものですから。あと、私もICTを生で見てみたいんで(笑)。

植田:ICTもまだ100%ではありません。不具合も出ます。そういうところをメーカーさんと一緒に考えていけたらと思っています。

施工:これまでで印象に残っている現場は、やはりスマートICですか?

植田:そうです。印象が強すぎて、夢に出てきますね。工程管理などを担当していましたが、初めて今日が何曜日がわからなくなった現場です(笑)。こんなに忙しかった現場はないですね。

施工:初めての現場所長はどうですか?

植田:わからないこともありますが、いろいろ相談しながら、とりあえず工期内に終わらせたいという気持ちです。工期的に厳しいので、ちょっとでもつまづいたら、工期内に終わりません。とにかく、つまづきがないように工事を進めていくことを心がけています。

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