住民説明会よりも壮絶な「近隣住民への説明会」
一週間後、近隣住民への説明会を開いた。覚悟はしてたが、やっぱり住民説明会よりも壮絶だ!
ここでも施工管理者にとって大切なのは、どんな感情的な意見でも真剣に聞き、記録をとること。そして、絶対に言ってはいけない言葉がある。それは「法律に従い、役所の確認申請も取得しているから、何ら違法な部分はなく全て合法なので、予定通りに進めさせて欲しい」というセリフだ。
理屈はその通りなのだが、これは喧嘩を売ってるのと同じである。説明を聞く側もそんな事は百も承知だし、法律も万全ではない。「法律さえ守れば何やってもいいのか!」という怒号も返ってくる。さらに、ちょっと知識のある人なら、建築基準法と民法に相反する条文があることぐらい知っている。理屈で押し通そうとしても、紛糾するだけだ。
そこで施工管理者としては、工事説明の際、周辺への気配りを盛り込んだ提案を用意することが重要となる。その後で近隣住民の思いを徹底的に聞く事だ。
この話し合いの中で、誰が中心で、何が出来て何が出来ないかを判断しながら記録をとり、それを正確に施主に知らせる。これをやっておかないと、後で施主から「外で誰々と会ったが全然知らない事で文句を言われた」とか「何故しっかり伝えてくれないのか!」という苦情にもつながる。少なくとも施主とは一枚岩になっておかないといけない。
当然、近隣住民たちの全ての要望は叶えられないが、後日、一つ一つ丁寧に回答する事が後々生きてくる!工事期間は長いし、迷惑を掛けっぱなしの日々が続くので、出来ることなら、周囲の皆さんを味方につける位の気持ちが欲しい。口で言うのは簡単だが、これは大変な事だ。しかし可能な限り、味方を作る事を念頭に入れておくだけで、工事は随分とやりやすくなる。
こうしたことを何もやらなければ、ちょっとした事で役所に苦情の電話が行き、ちょっとした騒音で警察に連絡がいき、パトカーが現場にやって来る。それで一度目を付けられたら、レッカー等の道路使用の申請をするだけでも、念書などの余分な手続きが必要になったり、施主にも連絡が行き、 施主からも苦情を言われたりする。