建築工事だけじゃなく、自転車のパンクも直す施工管理者
結局、一番の難題だった外壁のハツリ工事は、階毎の希望する時間帯を聞き、その時間に集中して工事させて貰った。階毎と言っても、その上下の階も相当うるさいので、工事中は外出していただくなど協力して貰った。本当に感謝している。
工事期間中は、住民の困り事にも極力対処した。配管のつまり、ドアのがたつき、ちょっとした錆落しとペンキ塗り、 自転車の修理やパンク直しまで何でもやった。たまに会社の連中が視察に来ると「そんなことまでやってるのか?」と言う。事情を知らない連中は色々ガタガタ言うが、私は一向に気にしない。現場は、建築工事だけやってりゃいいってもんじゃない!いい建築を造るのは当たり前。安全もそうだし、いい建築を造るためには、そのために必要な他の作業がいっぱいある。
竣工の目処がつきそうになったのは、着工から1年後の春先だった。竣工はそれから3ヵ月後の夏休み直前。竣工式の後で、施主に「ありがとうね!」と言われた時には不覚にも、汗が目から流れそうだった。
この現場から10年以上経った今、私はアフリカのある国でODAの工事に関わってるが、気持ちはあの頃と何ら変わっていない。私の方から全ての関係者に「ありがとう!」と言わなくちゃいけないと思いながら働いている。