大手ゼネコンとのJV結成は技術力アップに効果的
「2.JV結成義務の撤廃に係る施策の見直し」についての、東京建設業協会の意見は次の通りだ。
- JVでの入札参加に対する総合評価方式での評価の見直し
JV結成義務の撤廃後、技術力評価型や技術実績評価型の総合評価方式が採用された混合入札案件では、東京都内の中小企業者を構成員としてJVを結成した場合、技術点での加点は0.5点に留まり、JV結成の意欲がわかない。混合入札により、地元工事で地元の中小建設企業は、大規模工事に参加できる機会が著しく少なくなり、モチベーションも下がり、担い手の確保・育成に支障を来たしている。
そこで、地元の中小建設業者の健全な経営や存続を考慮し、混合入札でJVでの参加も促進するため、東京都内の中小企業を構成員とするJVでの入札参加に対しては、総合評価方式において、現在の社会性のなかでの選択項目の一つではなく、独立した項目で評価し、さらに点数を引き上げて欲しい。 - JV結成義務の復活
地域防災を担う地元の中小建設業者の受注機会の確保や技術力向上のため、JV結成義務の撤廃を見直し、議会付議案件(9億円以上)や島しょなどの地理的条件などにより、JV結成が必要な案件は結成義務を復活して欲しい。
東京建設業協会の幹部は、JV結成義務についてこう語った。
「大手建設企業とJVを結成し、下請ではない形で大手ゼネコンと一緒に仕事をすることは、中小建設企業のモチベーションや技術力もアップする。そして次の工事で新たなチャレンジが出来る。施工の実績としても役立つ。JV結成義務は中小建設企業が望んでいることだ」
これに対して猪又課長は、総合評価での加点について「ほかの団体からも要望があるので、試行の状況を見て検討する」と答えた。

原澤敦美・入札監視委員会制度部会委員
また、原澤敦美・入札監視委員会制度部会委員は、「JV結成義務は撤廃されたが、引き続き中小建設企業が任意で大手建設企業とJVを組むことは禁止していない。東京建設業協会の会員企業は、大手も中小企業も参加しているが、会社規模の大小で意見の相違がありますか?」と質問した。
この質問について東京建設業協会の幹部は、「中小企業の会員からは、義務づけがないと大手ゼネコンからJVのお声がけがいただけないとの意見がある。大手ゼネコンとのJV結成は、教育面で必要なので今回、このような意見を提案した」と回答した。
「1者入札中止」について、東京建設業協会が「廃止」に言及
「1者入札中止」についても、東京建設業協会から厳しい意見があった。
- 希望申請した工事案件が1者入札かどうかは、本来、申し込んだ建設業者が知り得ることではなく、再発注されても再公告の時期によっては、配置技術者の再選抜や再積算の体制構築が不可能な場合もある。
- 最終的に工期が短くなり受注者に負担がかかる。そもそもなぜ1者入札になるか。その理由は「技術者の配置が出来ない」「想定される予定価格では採算が合わない」などで入札を見送るケースが多いためと思わる。さらに入札中止の結果により、東京都の事業執行の遅れや入札参加者の負担につながる。
そして今回、意見交換をした団体の中ではじめて、東京建設業協会は「1者入札中止の廃止」にも言及した。「1者入札中止」については他団体からも「見直し」が求められていたが、「廃止」に言及したのははじめてのケースだ(後に、東京中小建設業協会も「1者入札中止の廃止」に言及し、足並みをそろえた)。