国土交通省のTEC-FORCEが豪雨災害でも活躍
――西日本豪雨でも関東技術事務所は活躍されていますが、関東技術事務所の役割について教えてください。
鈴木勝所長(以下、鈴木) 国土交通省の関東技術事務所には、地震や台風などの自然災害に備え、多くの災害対策用の機械や応急復旧用の資材が配備されています。関東技術事務所は、災害対策本部である関東地方整備局本局が被災した場合のバックアップ本部に位置付けられています。
また、首都直下地震などにおける他の地方整備局からの応援TEC-FORCEの受け入れ、派遣先の命令伝達、連絡調整を行うTEC-FORCE進出本部にも位置付けられています。災害発生時には、災害対策本部長の指令に基づく災害対策用機械の出動や、応急復旧用の資機材を搬送するために、災害対策活動に従事する職員や、協定会社の要員に対する訓練を平時から実施しています。
さらに、災害対策活動から得られた教訓を活かし、災害対策用機械の改善や新たな災害対策技術の調査も実施しています。
――関東技術事務所が被災地に派遣しているTEC-FORCEとは?
鈴木 TEC-FORCEは、地震・水害・土砂災害などの大規模な自然災害に備え、迅速に地方公共団体等への支援が行えるよう国土交通省に設置された組織です。被災状況の迅速な把握、被害の拡大の防止、被災地の早期復旧など、災害応急対策に関する技術的な支援を迅速に実施します。
平成30年7月豪雨でも、関東技術事務所は排水ポンプ車や照明車とともに、TEC-FORCE隊員第2班(取材時)を中国地方整備局管内に派遣しました。浸水地域の排水活動を行い、被災地域の支援活動を続けています。地震や豪雨に見舞われやすい日本国民の安全と安心を確保することがTEC-FORCEの役目です。
技術面でも、関東技術事務所では今、災害対策として無人化施工機械運用システムの開発を進めています。地震による道路閉塞、法面崩壊、火山噴火による火砕流、土石流などの災害現場において、無人化施工機械が作業現場へ確実かつ迅速に移動できるようにするための開発です。
――関東技術事務所と「関東維持管理技術センター」の関係は?
鈴木 2013年に国土交通省に「技術センター」が設置され、関東が構造物の維持管理、北陸が雪害、中部が地震・津波、九州が防災・火山を担当し、技術開発を統括することになっています。
関東維持管理技術センターのセンター長は、関東地方整備局企画部長が兼任し、関東技術事務所の所長である私が副センター長を兼務しています。
インフラ老朽化の維持管理に対応すべく、年に1回以上、センター会議を開催しています。