リニューアルオープンした建設技術展示館
――今年5月に建設技術展示館は、リニューアルオープンしましたが、その狙いは?
鈴木 従来は建設の新技術に関する展示でしたが、今回は建設業の「担い手確保」への取り組みに関する展示(19者)と、「生産性向上(i-Construction)」に視点を向けた展示(48者)に展示内容をリニューアルしました。建設業界の担い手不足は、労働人口の減少と高齢化、建設投資額の減少から危機的な状況です。それをサポートする効率的な施工方法として「生産性向上(i-Construction)」を推進しています。
企業だけでなく自治体、大学などの取り組みも展示していますが、ここ最近は、ICT施工の流れもあって、建設機械メーカー、コンピューター関連の会社も出展するようになりました。アピールしたいという気運が強まっているのでしょう。展示内容については、審査委員会を設置し、ジャッジしています。
展示一覧【生産性向上が実現可能となる、ICT施工技術と関連技術】
■ ICT施工システム
- 一般社団法人日本測量機器工業会 「i-Constructionの生産性向上のための技術」
- 株式会社安藤・間 「i-Constructionを支えるICT施工技術」
- 株式会社NIPPO 「N-Pnext」
- 前田道路株式会社 「かんたん情報化施工」
- 日本道路株式会社 「ICT技術を用いた生産性向上に関する技術」
- 西尾レントオール株式会社 「ICT施工機械及びその遠隔操作技術」
■ 測量技術
- 株式会社ジェノバ 「高密度ネットワーク型RTK-GNSS配信サービス」
- 株式会社トプコンソキアポジショニングジャパン 「3次元測量システム」
■ 設計システム
- 福井コンピュータ株式会社 「3次元点群処理ソフトTREND-POINT」「3D-CADシステムTREND-CORE」
■ 計測技術
- 東亜建設工業株式会社 「水中可視化システムBeluga-AR」「自律航行型測深システム 自動ベルーガ」
- ユナイト株式会社 「アスファルト舗装密度測定器 ペイプトラッカー」
- 株式会社マルイ 「キャスポル」
■ 施工機械
- 日立建機日本株式会社 「ソリューションリンケージ」
- 大成建設株式会社 「建設生産システムの省力化・効率化」
- 株式会社カナモト 「自動追尾型トータルステーションを利用した機械施工の効率化」
- 日本キャタピラー合同会社 「日本キャタピラーのアップグレードソリューション」
- ユナイト株式会社 「舗装工事におけるマシンコントロールシステム」
■ 管理システム
- 五洋建設株式会社/日精株式会社/ワム・システム・デザイン株式会社 「Color Gate System~動作管理システム~」
- 株式会社レント 「バッテリー再生技術を用いた保有蓄電池の運用期限管理」
- 株式会社アクティオ 「プレミアムモジュールファン 超高速凝集沈殿装置」
- 五洋建設株式会社/古野電気株式会社 「ETCによる車両事故防止&運行管理システム」
■ 施工技術
- マルチレベル工法・マルチ搬送(横引)工法研究会 「マルチレベル工法・マルチ搬送(横引)工法」
- オープンシールド協会 「オープンシールド工法」
- 株式会社ガイアート 「延長床板システムプレキャスト工法」
- ゴトウコンクリート株式会社 「都市型側溝 シェイプアップスリスト」
- パワーレンダー工法研究会 「パワーレンダー工法」
- 株式会社大阪防水建設社 「OB-SHARE」
- CDM研究会 「CDM工法におけるICT活用技術」
- ケミカルグラウト株式会社 「ICECRETE工法」
- 株式会社技研製作所 「PPTS自動運転」
- ライト工業株式会社 「3D-ViMaシステム」
■ 維持管理技術
- 東亜グラウト工業株式会社 「スマートボール工法」
- 前田工繊株式会社 「ICT技術と連携する補強土壁」
- 西日本高速道路エンジニアリング四国株式会社 「システム(赤外線トータルサポートシステム)」「 イーグル(道路性状測定車)」
- 大林道路株式会社 「RIM(マルチ測定車)」
- 一般社団法人IPH工法協会 「IPH工法(内圧充填接合補強)」
- ゴトウコンクリート株式会社 「ディンプル」
- W2R工法協会 「W2R工法」
■ 災害対応
- 建設無人化施工協会・建設無線協会 「無人化施工技術」
- 次世代無人化施工技術研究組合 「無人化施工に関する新技術の研究開発」
- 株式会社カナモト 「人型ロボットによる建設機械操縦効率化」
――ICT施工の普及活動は、展示以外でも取り組んでいますか?
鈴木 たとえば、ICT活用工事を行う測量者・施工管理者・現場代理人を対象に、「i-Construction実技講習会」を開催しています。7月19日には千葉県佐倉市の西尾レントオール東日本テクノヤードで実施しました。
西尾レントオールさんは建設技術展示館に出展している関係もあってご協力いただいております。大手ゼネコンよりも中小建設企業の参加が多く、ICT施工に対する関心が高まっていると実感しています。今後、埼玉県など他県でも開催する予定で、施工業者の皆さんが建設機械に触れられる機会を増やしていきたいと考えています。
――日本の先進的な建設技術には海外からの注目も集まっているそうですね。
鈴木 年に2〜3回ほど、海外技術者向けに、国土交通省や独立行政法人国際協力機構(JICA)が国際協力の促進の一面として、建設技術展示館を案内しています。
――担い手確保における関東技術事務所の役割は?
鈴木 関東技術事務所は、一般向けにも建設技術展示館を開放し、イベントを開催するなど、実際に手を動かす機会を増やすことで興味を持たせ、技術や知識の習得を得ていただけるように心掛けています。
もちろん、自治体や施工業者の方々にも、建設技術展示館を研修用に開放し、講習会を開催できるスペースも用意しています。自治体に限らず、団体での見学であれば希望により建設技術展示館の出展企業から直接、新技術についての説明を受けることも可能です。
その他にも、関東技術事務所の構内には、施工プロセスモデルやさまざまな施工を施した舗装など、実習機能もあります。今年度は、不具合堤防も構内に設置し、より実践的な研修を行えるようになっています。
――全国の建設技術者や現場監督にも、建設技術展示館に一度は来ていただきたいですね。
鈴木 建設技術展示館には情報化施工やICT施工に関わる情報や展示物が多いので、ぜひ監督さんには新技術を体験し、ご覧になっていただきたいと思います。それを現場で活用し、生産性向上にお役に立てていただければ、われわれ関東技術事務所としても嬉しいです。
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