新技術の普及と関東技術事務所の建設技術展示館
――技術・人的面双方で、災害から国土を守る役割を果たしている関東技術事務所ですが、そもそもの設立趣旨は?
鈴木 戦後復興する際に、建設機械が民間に不足していました。そこで政府が建設機械を用意するために、関東技術事務所の前身である「機械整備事務所」を発足しました。当時遅れていた日本の建設工事での機械化施工の普及推進を担っていたわけです。
その後、日本の経済発展に伴い、建設業界の体制や国民ニーズの変化に応じて、国土交通省が管理する河川や道路などの事業の実施に必要な技術の改善や確保と地震や台風などの自然災害や水質事故への対応に取り組んでいます。戦後の「機械整備事務所」の役割や使命からの変更に伴い、昭和46年に「関東技術事務所」に改称したという経緯があります。
現在、53名の職員が従事し、松戸市の関東技術事務所とは別に、災害対策用の資材・機材の設置スペースとして、船橋防災センターも開設しています。
関東技術事務所の沿革
・昭和24年 8月 1日 建設省関東地方建設局 東京機械整備事務所設置(東京都墨田区吾嬬町)
・昭和39年 7月 1日 船橋工作事務所を統合して、工作課(船橋市)とし、東京機械事務所に名称変更
・昭和41年 4月 1日 関東地方建設局企画室材料試験係を統合し、東京材料試験出張所(品川区)を設置・東京技術事務所に名称変更
・昭和46年10月 1日 関東技術事務所に名称変更(東京材料試験出張所を含め千葉県松戸市初富飛地に移転)
・昭和47年 5月10日 東京材料試験出張所を廃止、材料試験課を設置
・昭和49年4月10日 水質試験課を設置
・昭和60年 4月 8日 庶務課を総務課に名称変更
・昭和61年 4月 7日 経理課を設置
・昭和62年 5月23日 技術情報課を設置
・平成 4年 4月13日 工作課(船橋)を防災技術課と改称
・平成 7年 3月31日 防災技術課(仮称・船橋防災センター)新庁舎完成
・平成 9年 3月18日 船橋防災センターを開所
・平成 8年 5月11日 工務課、材料試験課、水質試験課を廃止
・平成11年11月17日 (建設技術展示館開館)
・平成12年 1月29日 事務所所在地が松戸市の住所表示整備事業により、千葉県松戸市五香西6-12-1に住所表示変更
・平成13年 1月 6日 国土交通省関東地方整備局関東技術事務所に改組
・平成18年 4月 1日 調査試験課を廃止、品質調査課を設置
・平成20年 4月 1日 機械課、技術情報課を廃止、施工調査課を設置
——災害対策以外の関東技術事務所の役割は?
鈴木 関東技術事務所としては、民間企業に安全かつ低コストで、品質が高い新技術を次々と開発して欲しいという願いがあります。そのためにNETIS[ネティス](国土交通省の新技術情報提供システム)では、公共事業が抱える様々な課題を解決しうる民間企業の新技術を募集し、データベース化しています。建設技術のイノベーションを続けていくために、国直轄の公共工事で新技術を導入した企業には、総合評価で工事成績評点を加点するケースもあります。
また、関東地方整備局では、新技術の普及促進と建設事業の啓発を目的に、平成11年11月から「建設技術展示館」を開設しています。建設技術展示館は、技術者だけでなく、どなたにも「見る」「触れる」「体験して学べる」場として活用できるようになっています。
関東技術事務所は今年の夏に「夏休み親子防災教室2018」、「夏休み子供体験教室2018」を開催し、地元千葉県の親子さんを中心に双方合わせ約1,000人の来場を見込んでいます。ミニショベルの操作体験や、高所作業車の試乗、土木工事のロボット展など、出展者が手弁当で行います。千葉の地元のみなさんに、関東技術事務所の取り組みや建設技術の魅力を知ってもらうことも関東技術事務所の大事な活動です。