ガーナ人、ジョーの活躍
傲慢な日本人OBとは違って、ガーナ人のまとめ役であるジョーは、気持ちが通じた。
ジョーは自分を抑えられる人間で、でしゃばらない、極めて感性が日本人に近いガーナ人だった。日本側の意向を現地の作業員に伝え、ガーナ人の不満を抑えつつ、上手くバランスを取りながら現場を進めることが出来たのはジョーのおかげだった。
毎朝の朝礼で、日本式の体操の後、ジョーが全作業員に話をするのだが、作業の要点、注意事項、安全、工程と、日本の朝礼と遜色ない。
ジョーは、私も近づけない形相で作業員を叱ることもあった。作業員の胸倉を掴んで今にも殴りかかりそうなところを、後ろから抱きかかえて止めたこともある。
また逆のケースもあった。私が他の日本人と、現場とコンサルとの対応めぐって、言い争いをした後、むしゃくしゃして外でタバコ吸ってると、私の肩をポンポンと叩き、コーヒーを差出しながら、ニッと笑って親指立てて深呼吸の真似をした。
私は「OK!OK!Don’t worry!」と返事した。
ジョーの提案が現場を救ったこともあった。
しかし、このジョーに対しても、このゼネコンの日本人技術者は「無条件で日本人のほうが上だ」という、情けない態度をとるのである。
(つづく)
すごくおもしろいです。海外に行こうか迷っているので参考にさせて頂きます。アジアの現場も書いて貰えないでしょうか?