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ホリエモンにも若手官僚がヒアリング 国交省「政策ベンチャー2030」が描くタブーなき未来とは?

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公開日:2018.11.27 / 最終更新日:2018.12.20
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――7つの未来シナリオはいずれも衝撃的な予測です。政策ベンチャー2030の施策に触れる前に、未来シナリオについて、現役官僚の口から語っていただければ。まずは未来シナリオ①から。

未来シナリオ①「消耗戦による衰退」から「戦略的な撤退」へ

これから本格的に進む人口減少社会に対して、楽観主義的な立場にはたたず、何も手立てを講じなかった場合に想定される厳しい社会変容を正面から捉え、国土構造の転換やインフラの投資の選択・集中をより先鋭化させていくことが必要ではないか。

現在、地域活性化等の名の下に全国で展開されているものには、経営見通しが甘いインフラ・事業投資や非効率な公共サービス、限られた資源を無秩序に奪い合うような規制なき人口増加施策、近接都市による単独かつ各々の観光誘致等が多く、これはまさに各都市が「消耗品」を繰り広げている状況であるという問題意識を持っている。

この状態ではそれぞれの都市だけではなく、国家全体として衰退していく危険性もあり、日本全体で賢く成長していくためにも国としても覚悟を決めた政策が必要であり、そのためともすればネガティブなフレーズとしてタブー視されてきた「撤退」という手段を用いて、戦略性を持って機能集約を進め、インフラ投資を今以上にメリハリを効かせていくことも考えなければいけないのではないか。

中根 日本の人口は現在、約1億2,700万人です。2050年頃には約1億人、2060年頃には9,000万人を下回ってしまうと予測されています。「国土構造の転換」や「インフラ投資の選択・集中」を先鋭化していくことが必要ではないかと思います。一見、地方の切り捨てのように見えますが、そうではなく、真に必要な公共サービスやインフラに投資をして、成長可能な地域を支えていこうという我々の「覚悟」を示したものです。

――未来シナリオ②は、定住外国人の存在を意識していますね。移民の議論ともリンクしますが。

未来シナリオ②「国際観光による外国人との交流促進」から「定住外国人増加への備え」へ

2018年現在、在留外国人が250万人に達し、東京23区の新成人のうち、8人に1人が外国人であったという報道がなされているなど、日本では訪日外国人が増加し続けているだけではなく、定住を希望する外国人も増え続けている。この状況を踏まえ、移民を受け入れる、受け入れないといった議論を超えて、仮にこれからも定住外国人が増加し続けたときに、政府、そして日本社会としてどのような備えが必要なのか、本格的に検討しなければならないのではないか。

中根 政府は年間の訪日外国人旅行者の目標として、2020年に4,000万人、2030年に6,000万人を掲げており、訪日外国人旅行者が増加し続けています。今後は、訪日外国人旅行者だけでなく、日本に定住を希望する外国人の増加にも備えておく必要があります。今のうちから移民を受け入れる、受け入れないといった議論を超えて、仮に日本に定住する外国人が増え続けた時にどのような備えが必要なのかを考えておくべきではないでしょうか。

――未来シナリオ③はリスク社会を生き抜くことを明記しています。

未来シナリオ③「”絶対安全”信仰」から「脱”絶対安全”」へ

近年の様々な災害などによって、絶対安全・ゼロリスクというものが難しい、という認識は徐々に広まりつつある。一方で、自動運転やドローンといった技術の進展により、飛躍的な利便性と引き替えに、これまでとはまったく異なるタイプのリスクも出てきている。

今後は、事前にリスクを網羅的に把握することで絶対安全・ゼロリスクを目指す、という考え方を脱し、想定しきれないリスクやゼロにすることはできない(ゼロにするにはコストがあまり見合わない)リスクとどう付き合っていくか、ということを政策決定者から市民まで幅広い立場の人々がそれぞれ向き合い、考えていくという時代になっていくのではないか。

中根 「”絶対安全”信仰」から「脱”絶対安全”」という未来シナリオです。これは近年の様々な災害の発生状況を踏まえると、絶対安全・ゼロリスクの社会というのは難しいのではないかということが念頭にあります。一方で、自動運転やドローンといった新しい技術の進展と共に、これまでと異なるタイプのリスクも登場しつつあります。今後は、絶対安全・ゼロリスクを目指すという考え方を脱し、リスクとうまく付き合いつつ、新しい技術を受容していく時代になるのではないでしょうか。

――技術革新を手段として社会構造を進化させるという未来シナリオは大胆さがあります。

未来シナリオ④「デジタルな孤立」から「デジタルによる連帯」へ
近年のデジタル技術やネット空間の急速な発達で、便利さと引き替えにリアルなコミュニケーションが失われ、人々の孤立感がより、一層深まっているのではないか、と言われている。これらに対し、先進技術を「人の意思のもと、使いこなす」ことで、もう一度「人間らしさ」「人と人の直接的なふれあい、にぎわい」を取戻し、「外出したくなる社会」を目指していくべきではないか。

中根 インターネット、スマートフォンなどのデジタル技術が進歩すると、リアルなコミュニケーションが失われ、人々の孤立感が深まるのではないかという意見があります。しかし、我々の未来シナリオは、デジタル技術を上手に使いこなすことで人間らしさや人間同士の賑わいを回復しよう、連帯を深めていく社会を目指そうという提案です。

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この記事を書いた人

長井 雄一朗
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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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コメント(5)

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  • - 2018/11/27 20:59

    物凄く良記事

    >現役世代である私たちが”何もせずに静観する”ことは罪深い行為であると感じています

    この業界に携わっている身として非常に耳が痛い

    返信する 通報する
  • - 2018/11/27 23:00

    初耳。

    なんでこういうのニュースでやらないの?重要でしょ。

    返信する 通報する
  • - 2018/11/28 16:50

    率直にいいんじゃないでしょうか。
    まぁまだ具体的なところまでいっていないのでなんとも言えないですが、確かに静観しているのは死んでいるのと同じですね。
    ぜひ机の上の想定ではなく現実を踏まえて検討していってほしい。
    期待しています。

    返信する 通報する
  • - 2018/12/01 2:50

    国交省見直しました

    返信する 通報する
  • - 2018/12/20 15:26

    いいね、国交省。市をどうにかしてほしいです。

    返信する 通報する

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