竹下景子さんのCM、2度の破綻でも残ったホーメストブランド
バブル世代にとっては、ホーメストは懐かしいブランドに思えたのではないだろうか。木造住宅の大手・殖産住宅相互の新築住宅ブランド「ホーメスト」が前身。同社は、竹下景子さんが演じるテレビCM「ホーム、ホーマー、ホーメスト」のキャッチコピーで知られていた。
https://www.youtube.com/watch?v=dUjzdh18St8
その後、殖産住宅相互は民事再生を申請、ホーメスト部門は建築リフォームのペイントハウス(現・ティーエムシー)に譲渡。ペイントハウスも破産した際、2006年9月に都内の不動産関連業者がペイントハウスなどから事業譲渡を受け、ホーメストが設立されたという複雑な経緯がある。
つまりホーメストは運営会社が2回破綻しつつも、ブランド力が高く評価されて生き残った形だ。
スマートデイズ社長とホーメスト社長の関係
「ホーメスト」にはブランド力があった。では新築住宅、木造住宅が中心であったホーメストがなぜ、シェアハウスを展開するようになったのか。
シェアハウスの業界筋は、スマートデイズの大地則幸前社長とホーメストの八島睦社長の人間関係によるものだろうと推察する。大地氏は、1983年千葉県出身、国際理工専門学校建築設計課を卒業後、大手ゼネコンの清水建設、レオパレス21などを経て、株式会社スマートライフ(現・スマートデイズ)を設立したという経歴の持ち主。
一方、八島社長は、北海道札幌市出身。大工を目指して高卒で東日本ハウス(現・日本ハウスホールディングス)に就職したが、配属は営業職。24歳で営業課長まで出世したため、相当貪欲に飛び込み営業をこなしたと言われている。ホーメストの前身会社に就職し、その後、神奈川県相模原市のサカエ建設東京支社長をつとめているが、どこかで大地氏との接点が生まれたのだろうと観測が生まれた。「実はシェアハウスのノウハウは、サカエ建設で学んだのではないか」(業界筋)
実際、八島氏がホーメストの社長に就任したのが2016年、その後、シェアハウス案件にのめり込む。しかし2016年以降の2017年3月期には売上高10億3054万円、経常利益4,476万円と落ち込み、2018年3月期の売上高は24億6,242万円急拡大するものの、経常利益が1億8,159万円の赤字と経営は急激に悪化してきた。この時期からはシェアハウスの回収不能の多発で資金繰りの行き詰まりがほぼ表面化していた。
シェアハウスの建築はホーメストを指名
あるシェアハウスオーナーはこう指摘する。
「シェアハウスの工事会社はいくつかありましたが、事実上ホーメストを指名してくるのと同然でした。ですから、我々オーナーはホーメストと建築工事請負契約を結んだのです。しかし、私たちシェアハウスオーナーからすれば明らかに高く、それはおかしいと思っていました。」
完成したシェアハウスのサブリース契約は、シェアハウスオーナーとスマートデイズで結ばれる。仕組みは至ってシンプル。スマートデイズは投資家向けにシェアハウスが建設可能な土地を探し出し、これにホーメストなどを使ってシェアハウスを建築させ、投資用不動産として投資家に販売する。スマートデイズは賃料を保証し、投資資金をスルガ銀行との提携ローンにより、普通のサラリーマンでも気軽に不動産投資を行えるようなビジネスモデルを構築した。8%という高利回り、しかも30年保証であるがゆえに飛びついたワケだ。しかし、今や都内でも8%の高利回りの不動産物件などはほぼ存在しない。
年収600万円~1000万円クラスの一般のサラリーマン、公務員、医者がなぜ、このシステムの罠にひっかかったか大きな疑問だ。
「シェアハウスオーナーはシミュレーション結果の説明を受け、向こう30年毎年8%の利回りを受け取ることの話はあったと思います。稼働率が高ければビジネスモデルは成立していましたが、下手すると50%の稼働率でした。シミュレーション通りに行かなかったところに問題がありますが、これが意図的に行った詐欺にあたるかどうかの判断は難しいところです。」(増田氏)