シェアハウス「かぼちゃの馬車」のビジネスモデル
「かぼちゃの馬車」のスキームそのものは、“不動産知識がなくても不動産投資が出来る”ことが謳い文句だった。大地氏は、著書『「家賃0円・空室有」でも儲かる不動産投資———脱・不動産事業の発想から生まれた新ビジネスモデル』により、シェアハウスのビジネスモデルを紹介しているが、その後、「この本は私が執筆していない。ライターが執筆した」と吐露している。スルガ銀行は投資家の資産が仮に100万円というところを1,000万円に改ざんし、1億円や2億円を貸し付けた。明らかに過剰融資であった。問題の多いスキームであったことは明確であった。その点について増田氏は次のように解説する。
「年収500万円~600万円の人に対して一生返せない金額をスルガ銀行が貸し付けたことにも問題がありますし、シェアハウスのスキーム自体がずさんでもありました。
キーポイントはセミナーです。スマートデイズがセミナーを活発に行い、サラリーマン投資家を勧誘していったのです。“みなさん、こんないい土地にシェアハウスができました。ここは入居率100%になるに決まっています”と煽ったのです。」(増田氏)
しかし、「かぼちゃの馬車」の魔法は解けた。スマートデイズは2018年1月、契約していたサブリース賃料を支払えないことをシェアハウスオーナーに通告。その後、スマートデイズは破産した。そこでシェアハウスオーナーもホーメストへの工事代金支払いを一部止めていた。
ホーメストはこれに対して、工事代金入金を要請、一部オーナーに対しては工事代金支払いを求める提訴も行なった。
シェアハウス建築にあたっては、契約時に1/3、上棟時に1/3、完成時に1/3の代金をそれぞれ支払うこととなり、ほかの建設工事代金支払い慣習と同様な形式。「最終の残金を支払う前にスマートデイズのずさんな実態が明らかになり破綻して、シェアハウスオーナーは支払う必要が無いと考えたようです。」(増田氏)
「外国人の入居を促進すべき」というシェアハウス会社
10月26日、東京地裁の口頭弁論でシェアハウスオーナー側は、適正価格を逸脱した工事請負契約であり、「詐欺取消」と主張、スマートデイズの「詐欺的スキーム」にホーメストも荷担したため、同社への損害賠償も辞さない構えだった。次の弁論は2019年1月を予定していたがホーメストの破産申請により、裁判は中断。ホーメスト側の破産管財人が業務を引き継ぐ。オーナー側の代理人の谷合周三弁護士は、「今後の破産管財人の調査でホーメストとスマートデイズのキックバックにかかわる内部調査が明らかになることが期待される」と話す。
「今後は破産開始決定が下りる見込みですが、破産管財人が売掛金の回収をすすめていくでしょう。訴訟中のシェアハウスオーナーに対しても回収を求める可能性があります。」(増田氏)
しかし、ホーメストとスマートデイズの間でキックバックがあったとしても、シェアハウスオーナーがまったく支払わなくて良いかと言えば疑問視する声もある。この裁判はまだまだ長引きそうである。
また、あるシェアハウス会社からは、「かぼちゃの馬車を引き受けても良い。そして家賃も保証する」との話もある。そのシェアハウスの社長は匿名を条件にこう説明する。
「これから日本には外国人がどんどん入ってくる。オーナーが外国人の入居をOKすれば、弊社にはノウハウがあるから引き受ける。家賃も問題なくシェアハウスオーナーに支払う。しかし、今はシェアハウスの批判もあるので弊社自らは動けない。周囲、弁護士、オーナー一同から何とかして欲しいという声が高くなったときに動く。」
シェアハウス会社は、解決策として外国人入居をあげた。