回収水が生コンプラントの命運を分ける
コンクリートの練り混ぜ水は、大きく分けて次の3種類に分類される。
- 上水道水
- 上水道水以外の水
- 回収水
上水道水とはいわゆる水道から出る水。我々も日常的に使用・飲用している水で、コンクリートを練る際、無条件に使用することが可能だ。
「上水道水以外の水」とは、極端な話、「上水道水」「回収水」以外のすべての水を指す。具体的にいうと、「河川水」「湖沼水」「地下水」「工業用水」「海水」などのこと。
そして、生コン製造と切っても切り離せない、重要な要素を持つのが「回収水」だ。
生コンプラントでは、毎日プラント設備やミキサー車を洗っている。それらはセメント・コンクリートを洗い流す必要があるので、大量に排水され、アルカリ度数も高い。
この「回収水」を如何に活用できるかが、生コンプラントの命運を分けるといっても過言ではないだろう。
練り混ぜ水の品質規定は5項目
まずは「上水道水以外の水」を見ていこう。
「上水道水」の使用に規制がないことは先ほど伝えた。人が飲める水は、コンクリートにも悪い影響は及ぼさないということだ。実験など精密な効果を測定したい時などは、上水道水だけでコンクリートを練ることが推奨される。
「河川水」を思い描いてほしい。家庭排水からの洗剤や、工場排水の薬品が混入している可能性は否定できない。河口付近では、海水の混入も無視できない要因だ。
「地下水」もどこを通るかによって含まれる成分が異なるうえ、実際に地中の経路は全くわからない。
さて、「上水道」が浄水場で水質管理されているのに対し、実は「上水道水以外の水」には管理基準がない。基準がなければ何でもあり、になってしまうのが世の常。そんな理由から、コンクリート練り混ぜ水に関しては、JISにより「品質規定」が設けられている。(土木学会においても同様の品質規定あり)
以下に紹介する5項目。これはしっかりと覚えてほしい。

「上下水道水以外の水」品質規定
品質が規定されている項目を簡単に説明しよう。
- 「懸濁物質の量」とは、ろ紙で濾した時に残る物質の量のこと。
- 「溶解性蒸発残留物の量」とは、蒸発させて残った物質の量。
- 「セメント凝結時間の差」「モルタル圧縮強さの比」とは、その水で練った試験結果と、「上水道」で練った試験結果を比較した数値を表している。
「塩化物イオン量」という言葉が出てきたので、追記しておこう。
一般に、鉄筋の入っているコンクリートの練り混ぜ水に「海水」を用いてはならない。そんなことをしたら、鉄筋が錆びてしまうのは想像に難くないだろう。
しかし、それがもし「無筋コンクリート」であれば、海水を用いて練ることができるのだ。鉄筋の腐食を気にする必要がないためであるが、その副作用もしっかりと考慮しておきたい。長期強度の増進低下、耐久性の低下、エフロレッセンスの出現などの可能性を、併せて覚えておこう。