建築学部には12の専門分野。建築には適性が重要
――建築学部では、具体的にどのようなことを学ぶのでしょうか?
野澤康 建築学部には、「まちづくり学科」「建築学科」「建築デザイン学科」という3つの学科があります。
まちづくり学科は「都市デザイン」「ランドスケープデザイン」「環境共生」「安全・安心」、建築学科は「建築計画」「建築構造」「建築生産」「建築設備」、建築デザイン学科は「建築デザイン」「インテリアデザイン」「福祉住環境デザイン」「保存・再生デザイン」など、12の専門分野でメニューを用意しています。
1年生・2年生は、3学科共通の専門基礎教育を受け、3年生・4年生になると、12分野のうち1つの分野に軸足を置きながら、関連する他学科や他分野の科目も合わせて履修します。
私どもは、かなり前から基礎学力をつけた後、専門科目を指定することを推奨してきました。後に文部科学省も同じ指導をはじめ、機械、電気などの志望者はとりあえず工学部に入学し、3年生で自分の適性が分かった段階で学科を決めれば良いという判断を大学側に求めるようになりました。
そのため、工学院大学建築学部では、入学時に学科を指定する学生も、3年生になったら学科をあらためて選択し直します。当初、高校の先生からは、進路が不安定という指摘も頂きましたが、今では評価されています。
適性の問題はかなり重要です。建築デザインは格好いいと思ったとしても、ほかの学生と一緒に課題を進めていくと、目に見えて差がついてきます。その時点で適性がないことが判断できます。例えば、デザインよりも構造の道を選択する道もあります。

建築学部の作業風景。建築学部には女子学生も多い。
――学生に合わせた教育が、就職の強さに繋がっている?
野澤康 工学系分野で質の高い人材を輩出してきた歴史的背景もあり、工学院大学は産業界から厚い信頼を受けています。
2018年3月卒業生の就職内定率は98.8%です。そのうちスーパーゼネコン、準大手ゼネコン、大手設備会社を含む上場企業への就職内定率は41.7%、就職満足度は98.3%です。
専門領域と業界ニーズをもとにした、学校と企業のマッチングによって学生の就職支援もしています。最近では、民間企業に加えて、技術系公務員を志望する学生が増えていますので、公務員の就職実績も上がっています。
「即戦力の卒業生がほしい」というゼネコンの期待
――建築学部の卒業生には、現場の即戦力としての期待も大きいのでは?
野澤康 ゼネコンからは「学生を即戦力の技術者として育成してほしい」と期待されますが、それだけが大学の役割ではありません。
ゼネコン側の言い分も分かりますが、即戦力となる能力を身につけるためには、大学で何を教えればいいのか、企業側も大学側も理解できていないと思うのです。
また、これは個人的な考えですが、就職のためだけに4年間勉強するというのは学生にとっては気の毒です。やはり、好きな分野の勉強に打ち込むことが大切です。
卒業後の進路に現場の技術者を志望する学生はいます。私の研究室は、まちづくり学科で都市デザインを研究テーマとしていますが、中にはゼネコンの施工管理として現場に配属された卒業生もいます。現場適応力は大学教育で身につきますので、施工管理にも役立つのではないでしょうか。
昨今は、施工管理の求人も多くなっています。私たちも最近の建設現場は旧3K(きつい、汚い、危険)ではなく、女性も活躍できる業界であることは理解していますが、社会的には未だ旧3Kのイメージがあります。
学生が現場をより理解できれば、施工管理への道を選択する学生も増えるでしょう。
息子は工学院に入れようかな(笑)
早速ですが、我が子も2018年卒で
情報デザイン学科でした。
バイト、単位、卒論、就活と大変だったようで
かなりの苦労もしたことと思います。
地方から行ったこともあり、親の私も、いろいろな面で想像以上に大変な時が多々ありましたが本人の頑張り?で、無事卒業して、念願のIT企業に就職し今も、努力をしつつ日々勉強しながら
頑張っています。
地元の就職にはつかない選択をましたが本人が決めた事。親としては暖く心配しつつも見守っていきたいと思います。
ついに降臨、わが母校!
ゼネコン、こういうとこに投資しようよ。お世話になってるわけだし。
素晴らしいです。ローカルファーストという言葉がありますが、30年後の理想的な未来社会を見つめ、弱者や社会的課題を共有しながら地域で繋がれたら最高です。具体性のない意見や言いたい放題から、学生さんが連携を通じ、地道に考える基盤作りがどんどん進んでいく具体的な形に触れた気がします。応援したいというより、具体的に一緒にやれると最高です。ISO26000の指標や、SDGsの未来につながる期待もあります。これから、応援させていただければと思います。頑張って下さい。