鉄筋コンクリート用の鋼材は3種類
鉄筋コンクリートに使われる鋼材の種類は、大きく分けて以下の3つだ。
- 異形棒鋼
- 丸鋼
- PC鋼材
異形棒鋼は、リブと節からなる凹凸を持ち、この凹凸がコンクリートとの付着を強固なものとする。通常、現場で見るのはほとんど異形棒鋼だと言っても過言ではない。
丸鋼は、読んで字の如く。凹凸のない真っすぐな棒の形状をしている。メッシュ筋など、網目状に溶接されたものを目にしたことがあるかも知れない。
PC鋼材は、プレストレストコンクリートという引張応力で補強を施すコンクリートに用いられる。炭素量が多いので、非常に強く、伸びも少ない。
普通の鋼材ならば、先ほどの「応力-ひずみ曲線」のような挙動を表すが、PC鋼材の場合、炭素量が多いので全く別の線形となる。
明確な降伏点が現れないので、「降伏点」の代わりに、「0.2%の永久ひずみ」が生じた時点を「耐力」と呼び、強度の目安としている。
上記の2つのグラフを重ねると、以下のような関係となる。いかにPC鋼材が強いのか、また、弾性係数は強さには関係ないことなどが読み取れる。
鋼材の規格
最後に、鋼材の規格について見ていこう。
種類 | 記号 | 機械的性質 | |
降伏点または耐力 | 引張強さ | ||
丸鋼 | SR235 | 235以上 | 380~520 |
SR295 | 295以上 | 440~600 | |
異形棒鋼 | SD295A | 295以上 | 440~600 |
SD295B | 295~390 | 440以下 | |
SD345 | 345~440 | 490以下 | |
SD390 | 390~510 | 560以下 | |
SD490 | 490~625 | 620以下 | |
PC鋼棒 | SBPR785/1030 | 785以上 | 1030以上 |
表2 鋼材の規格(抜粋)
- SRとは、Steel(スチール)Round(ラウンド・丸)
- SDとは、Steel(スチール)Deform(デフォーム・異形)
- SBPとは、Steel(スチール)Bar(バー・棒)Prestressed(プレストレスト)
英字の後に続く数値で、「降伏点または耐力」の範囲を表している(単位はN/mm2)。SD295Aだけ、降伏点の下限値が規定されていることを覚えてほしい。
ここでよく混同しがちな、鋼材の「呼び名」との違いにも触れておきたい。
例えば、「主筋はD25、せん断補強筋はD13の鉄筋で配置」などと言われたら、それは鉄筋の呼び名であって、数値は直径を意味している。
つまり、SD345のように、強さを示す「記号」、D25のように太さを示す「呼び名」があるということだ。
鉄筋コンクリートは人間も見習うべき理想のマッチング
さて、コンクリートと鉄筋の相性がどれだけいいのか、理解いただけただろうか。お互いの強みで相手の弱点を補い合う。生物学でいう「共生」に勝るとも劣らない関係を、全くの人工物である鉄筋コンクリートで見られるのだ。
動植物や鉄筋コンクリートに限らず、人間関係にも「共生関係」は存在する。夫婦、組織の上司と部下、チームの監督と選手などなど。あなたの人間関係は共生関係が上手く機能している状態だろうか。
自分の強みで、相手の弱みを補えているのか不安なときは、共通の特性を持ち(熱膨張係数)、強みと弱みを補完する(アルカリ性・引張力)、コンクリートと鉄筋の理想の関係性を思い出してほしい。
コンクリートを学ぶことによって、色んな分野に応用できる知識・知恵が身に付けられる。これも一種の「共生」効果と呼んでいいのではないだろうか。