1層37.5cmの打設でコールドジョイント対策
岡本の説明によると、コンクリートの打設人員は7人。35tクレーンによるホッパー打設で、バイブレーターの使用は2台、予備として1台を準備した。高さ150cmに対して、1層あたり37.5cmの4層で打設を行っている。
ここで気になったのが「1層あたり37.5cm」。なぜなら、QC活動の根幹をなす、施工の重要事項を整理した『施工状況把握チェックシート』では、「1層当たりの高さが40~50cmとなるよう打ち込んであるか」との指示があるからだ。
これについて岡本は「下層のコンクリートが固まる前に打ち込まないといけないという制約の中で、これまでの経験からこの現場では1時間30分以内に次の層を打設することを決めました。
1層50cmにすると約1時間30分と目標値にはなります。ただ、生コン車のタイミングが悪かったり、打設作業に時間がかかったりなどのロスを考え、約1時間で打設を終えるために1層37.5cmとしています」と説明。
さらに「層厚については、打設するBL毎に幅・延長が異なり、クレーンの位置によっても打設時間が変わるので、これまでのデータをもとにその都度、決めている」と、コールドジョイント対策に万全を期しているという。
2日間にわたるレイタンス処理で品質確保
この現場では、現場に携わる全員が一体となってコンクリートの打設に取り組んでいる。
岡本は「言われたからやるのではなく、作業従事者が自主的に話し合いながら良い品質のコンクリートを打てるように努めています。打設しながら方法を確認したり、『施工状況把握チェックシート』の内容を説明しながら、気を付ける点を話し合っています」と語る。
使用器具についても、使用方法や注意点を必ず確認。例えば、気泡抜き器具のピカコンは、型枠に沿うように動かすのが重要なポイント。コンクリートに傷が入り、汚くならないよう、使用方法の記載どおりに使用することを徹底している。
バイブレーターの挿入高はその都度マーキング。レイタンス処理に至っては、打設当日に行い、取り残し防止のために再度、翌日にも高圧洗浄機で行うという念の入れようだ。