逃げるベトナム人と逃げないフィリピン人
――フィリピン人の特徴は?
岡田 ベトナム人はベトナム語、インドネシア人はインドネシア語が公用語なので、言葉の壁は否めません。
ですが、フィリピン人は公用語が英語で、言葉のアドバンテージが高いんですよ。それに、フィリピンには海外へ出稼ぎに行く文化もあるので、家族と離れて働くことに抵抗が少ないんです。
ただ、人にもよりますが、フィリピン人はプライドが高いので、指導する人にも頭ごなしに怒らないようにと指示しています。
今はFacebookなどで様々な情報が実習生の間で伝わりますし、注意して接しています。
――技能実習生の最大の問題に、失踪があります。
岡田 国によっても大分違いますが、最近、失踪率が高いのはベトナム人ですね。
禁止されてはいますが、ベトナム人は日本に来るために借金をするケースがまだあります。
建築現場は残業が少なく手取りが思ったよりも稼げないので、借金を返せない。だから、ベトナム人はSNSで美味しい話を聞くとそちらへ飛びついてしまうんです。
一方、フィリピンは出稼ぎ大国なので、国が出稼ぎ者を保護育成する政策を進めています。ですから、ベトナム人と違って、実習生として訪日するために借金をすることはありません。失踪率は、フィリピン人が断トツに少ないんですよ。
いずれにせよ、彼らは異国から来ていますから、働きやすい環境をつくることはとても大事なことですね。
入管法改正で、外国人現場監督が増える
――4月1日から入管法も改正されましたが、これから建設業での外国人材の活用はどうなっていきますか?
岡田 入管法の改正で、技能実習制度を終了したら、特定技能ビザに移行しやすくなります。
そのため、これから日本で活躍した技能実習生が一端帰国して、今度は特定技能ビザで再入国するケースが増えるのではないかと思います。
今は日本人の現場監督が技能実習生を指導していますが、これからは特定技能ビザを付与された外国人労働者や技能実習生を管理する外国人の現場監督が求められる時代になるのではないでしょうか。
実際に、私の周辺でも高度人材ビザで外国人現場監督を直接雇用している企業もあります。そういう人材がいると、外国人材のとりまとめができますから。
入管法の改正で、家族も日本に呼び寄せ、資格も永住権も取得することになれば、定住外国人が現場監督や大工の棟梁、職長になる可能性は十分にあります。
将来的には、外国人の現場監督のもと、外国人の職人が働くことで、日本の建設業界は支えられていく時代が来るかもしれませんね。
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