土木の世界は「デジタルガラパゴス」
IT系ベンチャー企業に転職したわけだが、春田さんとしては「建設の世界から離れたという意識はまったくない」そうだ。「土木を助けたい」という思いは、NPOを立ち上げた京都府庁時代からあって、「今の仕事はその延長線上にある」と言う。
現在は、東京に単身赴任中の身だが、関西方面の仕事も多く、全国を飛び回る日々を送っている。「『どこにでもいるね〜』とよく言われます」と笑う。
「コンサルやゼネコンからいろいろ問い合わせをいただくのですが、土木技術者とITのエンジニアでは、まず言語が違うんです(笑)」と言う。その間をつなぐのがJIW唯一の土木屋である春田さんの重要なミッションだ。ドローンやAIのプロだとしても、それをどう土木の計画書に落とし込んでいくかに関しては素人だからだ。
「サッカーのリベロのように、それぞれの間を行ったり来たりして、つなぐのが私の役割になっています」と話す。
公務員の世界は、良くも悪くも縦割り。”公務員が”と言うより、「公務員組織の仕組みが良くない」と指摘する。
「土木の世界は、昔からやることがず〜っと変わっていないので、ある分野を極めたらそれで良かったんです。新しいことをやる必要はなかった。土木の世界は『デジタルガラパゴス』なんです。
でも、最近は仕事が多様化してきていますよね。今は、IT業界から流れてきた3Dなどの技術をただ追いかけているだけなんです。確かに土木に経験は必要ですが、経験を積むのは一人しかできません。一人でできることは限られています。
ただ、デジタルの世界では、ある一人が経験したことをみんなで共有することができるんです。僕には、土木の世界もそうあってほしいという思いがあります」。
だが、「日本の土木屋は基本的にデジタルに弱いです。『ITといっても、せいぜいメールぐらい』という会社がゴロゴロしています」と指摘する。建設業界のIT化の実情には、暗澹(あんたん)たる思いにさせるものがある。
デジタル活用で、土木は変わる
「デジタルは、間違いなく土木を変えるツールです。例えば、WEB上で一瞬で現況を3D化できるんです。土木の技術者は、今みんな疲れちゃっていますが、デジタル活用によって、仕事が効率化されて、結果的にラクになるんです。土木の人を元気にしたい。土木が元気になれば、災害にも強い安心して過ごせる世の中になると信じています」と力を込める。
「土木技術者はスゴく真面目にひたむきに仕事をしています。それでも、世の中からちゃんと認められていないところがあります。デジタルによって、技術者の負担が減れば、いろいろと新しいことができるようになると考えています。それを実現したいというのが私の思いです」と目を輝かせる。
ICT化の流れは、旧態依然とした体質を残す建設業界にも確実に押し寄せている。ただ、ICTは当たり前になっているのは、大手と一部の意欲のある地域建設業だけ。大半の地域建設業にとっては、他人事なのが現状だ。コンプライアンスと行政の継続性、地元経済界とのしがらみなどにガチガチに縛られている公務員の仕組みを変えるのも、一筋縄ではいかない。
春田さんの「土木を助けたい」という思いは果たして彼らに届くか。その挑戦はまだ始まったばかりだ。
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受注者を下僕扱いする発注者役人に付き合いきれなくなりコンサルに転職した者です。諸々の伝達をファクスで行う自治体、まだまだありますよね。〇〇警報1つで現場に見廻りに行き、その速報もファクスで求められました。〇庁ならメールか電話なのに。新卒もコンスタントに入っているんだし、上層部や直属の上司は、ルーキー達までも、がっかりさせるようなガラパゴスぶりを露呈させないでほしいです。
多様なキャリアを積んだ人がもっと増えれば変えられることはたくさんあると思う。
土木×IT、コンサル×公務員、デベロッパー×建築
みたいな
どの組織も上の人が成長を諦めている人がitを毛嫌いしてしまい、マンパワーでどうにかしようとする。
ほんと、若手ばかり潰されてしまってる。
建設業というよりも、今あらゆる情報を簡単にネットで調べられしかも個々をうまく組み合わせれば業務効率化が進み生産性をあげれます。やたや、最新ハイテク機器を揃えても発注金額に見合った組み合わせを建設業で起業を考える大きな理由です。