「ドボクTECH」で建設業の働き方を変える
――ドローン点検によって、建設業はどう変わりますか?
柴田 コンピュータの世界では、アルゴリズムを一行書き換えるだけで、点検の品質が一気に上る可能性があります。ドローンは2022年に都市部での自動航行、目視外飛行が可能になる見込みですが、そうなると、コンピュータプログラムによってドローンを制御する時代が来ます。僕はそれを「ドボクTECHの時代が来る」と言っています。
JIWの社員には「俺たちはドボクTECHだ。建設業をITで盛り上げていくんだ」と言っています。JIWが目指すのは、ドボクTECHによる建設業の働き方改革です。
朝会社に来て、1時間プログラムを書いて、もう1時間でデバッグすれば、あとはコンピュータが勝手に仕事をしてくれる。1日2時間の労働で済み、それで月20万円もらえる。僕は、建設業をそういうふうにしたいんです。そうなれば、建設業が若者にとって魅力的な産業になるはずだと考えています。
建設業を、人が働かないで、仕事が前に進んでいく産業にしたいんです。それが実現すればまさに「三方良し」じゃないですか。僕には、そういう思いがあるので、自分のふところとか、会社の利益というものに執着しないでいられるんです。
JIWは自分にとってライフワークです。自分の思い入れもあるし、社会、建設産業にとって必要な会社だと考えています。本当に良いテーマに出会えたなという思いがあります。

ベンチャー企業らしく、ふだんはカジュアルな装いのJIW社員のメンバー。
――建設業界でIT化がなかなか進まないのはなぜだと思いますか?
柴田 建設業界には、どうしても「人に頼る文化」があるからだと思います。それは構造的なもので、ITの有効性に気づいても、業界的に会社的にはそちらにシフトできない因習的なモノがあると感じています。新技術を導入すると、仕事がなくなる人が出てくるので困るみたいな認識があるのかもしれません。
建設業界を変えるには、僕のように情報工学の人間が外からやってきて、バカなふりをしながら言って回るのが近道なのかなという気がしています。「無邪気に言ってみる」のが僕たちの務めかもしれません。
国内初! 点検ドローン-Skydio J2-レンタルサービス
インフラ点検ノウハウを持つエアロダインと業務提携
――マレーシアのドローン点検企業「エアロダイン」と業務提携を結んでいますね。
柴田 はい、エアロダインさんとは、今年7月に業務提携を結びました。NTT西日本はすでに、自前でドローン点検する能力を持っており、実際にKDDIさんやSoftbankさんなど同じ業界の会社のインフラ点検を行っていました。他のインフラ点検ノウハウはありませんでした。
例えば、鉄塔は点ですが、電力会社の電線は線です。点と線では空撮などのノウハウも異なるだろうと考えたわけです。
エアロダインさんは、電力のドローン点検で世界一の実績を持つ会社です。ウチにはないノウハウを持つ会社ということで、業務提携をしたわけです。エアロダインさんには「ウチは橋梁のドローン点検の世界一になる」と言っています(笑)。年間3万橋の橋梁をドローンで点検するような会社は世界にもありませんので。
エアロダインのノウハウをJIWに教えてもらって、その代わりにJIWがエアロダインのサービスを販売する。そういう業務提携を結んだんです。エアロダインの商材ですが、「ウェイマークグリット」などとリブランドして、JIWのブランドとして販売しています。