「騒音に関するご意見はいただいておりません」

いかにも頑丈そうな鋼板で覆われた移動台車
作業移動車の下部は、防水加工が施された鋼板で覆われているため、万が一コンクリートブロックの破片などの重量物が落下したとしても、一般道路の通行に影響を与えるリスクは極めて小さくて済む。「(一般道路の通行には)ご迷惑をおかけしないよう作業を進めています」(藤本さん)と話す。
撤去作業では、落下物だけでなく騒音のリスクもある。現場近隣にはマンションが立地しており、階層によっては真横で切断作業が繰り広げられることになる。切断は低騒音型のコンクリート撤去工法であるダイヤモンドワイヤーソーで行っており、周りを防音資材で囲う対策も施している。
しかし、「われわれとしては、半年にわたり続く作業ということもあり、周辺地域の方々には作業に関する丁寧な説明を行い、少しでも不安を取り除くことが大切だと考えていました」(中田さん)と言う。
そこで、阪神高速は既設橋梁の撤去作業が始まる直前の昨年12月、周辺地域の住民を対象に、切断作業の実演を含めた説明会を開催。つまり、先手を打ったわけだ。これが功を奏したのか、「切断の作業音に関する(お叱りの)ご意見はいただいておりません」(中田さん)とのこと。昼夜問わず切断作業を行っている現場としては、にわかには信じがたい現象だ。
2023年度末、いよいよ新設橋梁の現場作業が本格化
既設橋梁の橋桁部分の撤去は6月上旬に完了。工事全体の進捗率は39.0%(2023年5月末時点)となっている。今年秋ごろから梁部分の撤去作業に入る予定。
MMBが主体となって進める鋼製梁や鋼製橋桁といった新設橋梁の現場作業が本格的に始まるのは、2023年度末ごろの見通し。梁は近くの施工ヤードで地組し、多軸台車で運搬。既存のPC橋脚と接合させるカタチで架設する。
橋桁の側径間は、やはり隣接橋梁上で地組し、多軸台車で送り出し架設する。中央径間は梁同様に施工ヤードで地組し、やはり多軸台車を用いて架設する。交差点中央で一括吊り上げ架設が予定されている。「(鋼橋の架設は)われわれにとっては得意としている工事のひとつ。(既設橋梁の撤去に比べれば)安心しています」(中田さん)と自信を見せる。
無事故無災害、周辺環境に配慮しながら完成を迎えたい

現場近くにあるマンション
とは言え、まちなかで、しかも交通量の多い交差点の直上で作業するというキビしい現場条件に変わりはない。
「工種がどんどん変わっていく現場ですが、一般道路や周辺環境への影響を抑え、騒音などでご迷惑をお掛けしないようにするという点は、最後まで変わりません。切断作業ではご意見をいただくことなく進めてこられましたが、慢心せず、引き続き注意しながら作業を進めていきたいです」(中田さん)
「騒音対策など地域の負担を抑える対策をしっかり講じながらも、今後100年持つような、良い橋をつくりたいです。本体構造以外の箇所についても、本線を通行止めしているこの機会に、直せるものはどんどん手を入れていきたいです」(森さん)
「撤去作業はある程度先が見えてきましたが、われわれのパートとしてはまだ8ヶ月ほど工期が残っています。これまでの1年間、無事故無災害でやってこれたので、今後もこの状態を続けていきたいというのが、一番の思いです」(藤本さん)
完成に向け、各者各様に気を引き締める。
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