環境や賃貸住宅では2030年までに具体的な目標を提示
次に、建築技術の責任者であり、環境推進を担当する舘正文取締役 上席執行役員 設計統括部長が「環境」と「賃貸住宅」の取組みについて解説した。
「環境」のKPIは、①温室効果ガス排出量の削減率(中長期目標:温室効果ガス排出量を2030年までに55%削減)、②再生可能エネルギーの利用率(同:再エネ導入率を2040年までに100%)、③エネルギー効率(同:エネルギー効率を2030年までに2倍)とした。
「賃貸住宅」では、KPIを社会課題対応型賃貸住宅供給率(同:ZEH供給割合2030年までに100%)とした。この社会課題対応型住宅は注力している環境配慮型住宅で推進し、ツーバイフォー工法の木造商品の供給を継続してZEH化を進めるとともに、鉄骨造、鉄筋コンクリート造のZEH化を順次行う。
さらに、環境と賃貸住宅のマテリアリティ解決に向けた具体的な取組みとして、「賃貸住宅における『ZEH』標準化」「LCCM賃貸住宅の開発」「CLT工法による賃貸住宅の開発」「ZEH賃貸住宅から『再エネクレジット」『省エネクレジット』を発行」「FIT終了後の再生可能エネルギーとしての活用方法を構築」「太陽光発電設備の設置」「バイオマス発電事業への参入」の7つを紹介した。
このうち、「賃貸住宅における『ZEH』標準化」では、2023年10月末の全完成戸数の2万285戸のうち1万2,197戸がZEH賃貸住宅で、全体の約60%に到達している。「新規契約戸数では伸びているため、今後に順次完成していくことでZEH賃貸住宅の割合はさらに増加するものと予測する」(舘取締役)
グループ全体で建築する賃貸住宅がZEHに切り替わっていくことで温室効果ガス排出量のスコープ3の削減に貢献する。しかし、2030年までに55%削減、2050年までのネットゼロという中長期目標ではZEH賃貸住宅のみでは難しいと試算しており、あわせてLCCM賃貸住宅の推進が必要としている。
「LCCM賃貸住宅の開発」ではこれまで、2021年6月に日本初のLCCM賃貸住宅を完成、2022年10月にLCCM賃貸住宅商品の販売を開始している。これは国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業」に採択されたことで販売の促進に繋がった。2023年にはCLT賃貸住宅がLCCM認定を取得。ちなみにLCCM賃貸住宅はZEH賃貸住宅よりも省エネ性能では上位に位置し、このZEHとLCCM賃貸住宅の両輪で中長期目標を達成していく。
関連記事
ZEHとLCCM賃貸住宅の両輪で目標達成
「CLT工法による賃貸住宅の開発」では、2022年8月にはCLT工法による4階建て賃貸住宅、2023年1月にはLCCM認定を取得したCLT工法による戸建賃貸住宅、2023年10月末時点では5棟のCLT住宅が完成している。
CLT工法の特徴は、鉄筋コンクリート造と比較して建設時の環境負荷が少なく、木材による温室効果ガスの固定効果も期待ができ、将来の建て替え時に解体でも再利用に効果があり、循環性が優れライフサイクル全体での環境負荷削減効率が高い商品だ。CO2削減効果では4階建て・12世帯のマンションで比較すると、CLTはRC造より約150t-CO2のCO2削減効果があると試算し、今後もZEH賃貸住宅、LCCM賃貸住宅と合わせて、CLT工法による賃貸住宅も推進していくことで、様々な形の環境配慮型住宅の供給を目指す。
このほかサプライチェーンサステナビリティの強化に向けた取り組みなどを説明した後、事業活動を通じた環境への対応をさらに加速させ、持続可能な社会への貢献と、企業価値向上へつなげる決意を示した。
関連記事
大東建託グループの「人的資本経営」
続いて、田中良昌取締役 上席執行役員 業務本部長が「社会」への取組みについて説明した。
大東建託の創業者は、「人はキャピタルである」との理念を掲げたが、これは人を企業の資本と捉え、価値を最大限に引き出し、企業価値向上へと繋げていく経営である。これからの「人的資本経営」は、これまで以上に”ヒトづくり”にこだわっていくとし、人の確保では採用に始まり、定着や育成、評価や報酬という施策の展開を通じて社員の成長を支援する。
その上で、施策が有効に機能するための成長エンジンと期待しているのが「ダイバーシティ」、「エンゲージメント」「ウェルビーイング」などソフト面の充実だとしつつ、特にダイバーシティ宣言を掲げ、個を尊重し、認め合い、多様性が強みとなる組織づくりを目指していく。
計画的な育成で女性管理職比率向上を目指す
女性活躍推進では、2021年から「女性育成プログラム」を導入。育成する上司に対してダイバーシティ推進に関する教育を行い、評価にも盛り込む。同プログラムの一つである「クオータ制」は3年後の上級管理職を含めた女性管理職数を設定し、計画的に育成していく制度で、2024年4月1日に第1期が終了する予定となっている。
同プログラムを導入して2年ほど経過したが、単に管理職比率を向上するだけではなく、定着策の検討などを現場目線で実施して積極的に女性活躍を推進している。2024年4月時点では、第1期では目標の女性管理職率を6%と設定していたが6.7%まで伸びると期待している。来期から第2期に移行し、2027年での中期的な目標は8.5%の設定を検討しており、今以上の施策を展開する。
また、女性活躍を推進する上で欠かせないのが男性の育児参加だが、大東建託では男性育休100%宣言プロジェクトに参画し、社内情報共有サイトで育休体験談の社内共有も積極的に実施することで、取得しやすい体制を整備した。その結果、育児休業取得率は119.1%(2022年度)との結果に至り、男性も育児参加が当たり前となる環境づくりに取り組んでいる。
カタカナ、短縮が多くて何言ってるか分からん