施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

「在来工法7割」の壁を壊せ。日綜産業が新開発した”ちょうどいい”システム吊り足場は新たなスタンダードになるか?

  • インタビュー
  • 技術を知る
公開日:2026.01.07
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 1 コメント
  • メールで共有

オーバースペックを排して、市町村工事にも「ちょうどいい」

――現場の細かな安全対策についてはどう配慮されていますか?

鈴木氏 人の墜落・転落防止はもちろんですが、モノの飛来・落下防止も重要です。そのためには足場の隙間を無くすことが求められます。吊り足場内部での塗装・素地調整作業では、塗料などの飛散防止のためシート養生が必須になります。そこで、釘や木ビス、タッカーなどで養生シートを容易に固定できるよう、オプションとして「フロアスペーサー」を用意し対処しています。

ブラスト現場では、橋梁などの鋼構造物に圧縮空気で研削材を吹き付け、古い塗膜やサビを除去します。その際、大量の粉じんや破片が発生するため、これらを外部に漏らさないよう周囲を完全に覆う必要があります。しかし、鉄部には釘が打てません。そこで、ところどころに木の板を挟み込み、釘を打てるような配慮を施して利便性を向上させました。 基本積載荷重は120~150kg/㎡。これは市町村レベルの公共工事において、まさに「ちょうどいい」値です。

NSDでは支柱を差し込む部材として、オプションとしてポストロックを用意

NSDでは支柱を差し込む部材として、オプションとしてポストロックを用意

――そうした機能性と、150kg/㎡という積載荷重を踏まえると、どのような現場がターゲットになるのでしょうか。

鈴木氏 NSDの基本積載荷重では、極端に重たいものは載せられません。しかし、石川県加賀市の福田橋のような橋梁修繕工事では、NSDを導入することで、早く安全に工事を推進することが可能です。オーバースペックになりすぎず、かといって工事に不安を与えない。「ちょうどいい」をコンセプトとして提示している点に、大きな意味があると考えています。

福田橋のような中小規模橋梁に導入が期待される

福田橋のような中小規模橋梁に導入が期待される

例えば、東京都内には高度経済成長期に建設された歩道橋が数多くあります。下を車両が通行するため足場を下げることができず、厚みのあるクイックデッキでは導入が困難でした。しかし、NSDであれば採用可能です。こうした小規模橋梁工事において、採用のメリットは非常に大きいと言えます。

「作り手」と「組み手」の共創。”卓越した鳶職”鉞組が開発参画

――NSDの開発期間について教えてください。

鈴木氏 クイックデッキを発表したのが10年前、クイックデッキライトが約4年前です。クイックデッキは日本になかった「システム吊り足場」を導入した最高峰の商品ですが、当時から、いずれはライトな(軽量・簡易な)吊り足場もカバーしなければならないという構想はありました。価格と性能でカテゴライズされるべきだと考えていたのです。そこで約3年前にNSDの開発に着手し、今回の発表に至りました。

本格的に現場実装されているクイックデッキ

本格的に現場実装されているクイックデッキ

――クイックデッキからNSDに至るまで、大きなストーリーがあるように感じます。

鈴木氏 まず「吊り足場のあるべき姿」として最高峰のクイックデッキを発表し、業界の慣例打破に挑みました。しかし、多くの鳶工事会社はいきなりクイックデッキに乗り換えることは難しい。「足場板を2万枚持っているのに、それを捨ててシステムに乗り換えるのは厳しい」という経営者の声もありました。 在来吊り足場からシステム吊り足場への移行は必要ですが、既存の資産(機材)を持つ企業の事情も理解できます。そこで、システム吊り足場の「入り口」としてNSDを使っていただく。お手持ちの機材を活用しながらシステム化のメリットを享受できる、まさに「ちょうどいい」着地点を目指しました。

――開発に当たっては、岐阜県高山市に本社を置く、株式会社鉞組がアドバイザー的な存在だと伺いました。

鈴木氏 鉞組は吊り足場をはじめ、様々な仮設足場の設置に大きな実績をお持ちです。われわれ日綜産業はメーカーであり、鳶工事会社ではありません。そこで、「どうすれば組みやすいシステム吊り足場になるか」についてアドバイスをいただき、鳶工事会社目線での貴重な提言をNSDの開発に反映させました。

製品開発において理想なのは、「作り手」と「組み手」の双方が「いい商品だ」と評価している状態です。メーカーが「最高の商品です」とPRしても、鳶工事会社が「組みづらい、危ない」と感じれば、それは良い商品とは言えません。組み手が安全かつスムーズに、快適に組める足場こそが望ましいのです。早く組めれば鳶工事会社にとっても「この現場が終わったから次の現場へ」と回転率が上がり、利益拡大につながります。製品の性能と労務の評価が合致して初めて、足場の正しい評価が定まるのです。

日綜産業の工場内のような制約のない場所では問題なく組めても、現場は違います。鉞組は日本最高峰レベルで在来吊り足場を組んでおり、クイックデッキの導入実績も豊富です。日本のあらゆる吊り足場を知り尽くした彼らの知見と経験、つまり「鳶工事会社のフィルター」を通すことが、より良いシステム吊り足場の完成には不可欠でした。

日綜産業と鉞組の関係は深く、現在は資本提携を締結しています。お互いが資本を持ち合うことで、作り手と組み手の意見を有効活用し、共に成長しています。鉞組にとっても使いやすい機材があれば発展につながりますし、日綜産業としても最高峰の目線を通して良い機材を開発できる。双方にメリットがある関係です。

――鉞組はNSDについてどのような評価をされていますか。

鈴木氏 「システム吊り足場には良い点も悪い点もある」というご意見です。日綜産業はクイックデッキを最高峰と位置付けていますが、現場によってはすべてをシステム吊り足場で組むとなかなか仕事が終わらないケースもあります。橋梁の形状は様々で、システム吊り足場がうまく架からない場所では、在来の単管で収める手法が必要になるからです。鳶職人の目線では、すべて専用パーツで収めなければならないフルシステムには、ある種の「息苦しさ」もあるようです。

その点、NSDは通常のパイプが接続でき、現場での組み換えが可能です。鳶職人から見れば「これまでの応用で組める」という安心感があります。現在、鉞組の鉞社長をはじめ、多くの鳶職人の方々がNSDに触れ、組み方やアレンジの仕方、細かい部分についてSNSを通して写真でアップしてくださっています。 クイックデッキは「完璧な商品」としてリリースしましたが、NSDは「基本の骨組み」を日綜産業が提供し、鳶職人が手持ちの機材を織り交ぜて完成させる商品です。作り手と組み手が一緒になって創り上げていくシステム吊り足場として、これからの発展性に大いに期待しています。

次のページNSDが大規模工事への「最初のチケット」に

«1234»
  • この記事をシェアする0
  • この記事をツイートする0
この記事のコメントを見る1
こちらも合わせてどうぞ!
「足場もフリマで売買する時代」“LLINK”は足場の流通フローを変えるか?
「足場もフリマで売買する時代」“LLINK”は足場の流通フローを変えるか?
フリマサイトの市場規模はいまや1兆円を超え、急速に拡大が続いているが、ついに“足場材専門”のフリマサービスまでローンチされた。 足場材に特化したフリマサービス「LLINK(リンク)」は、くさび式足場などを自由に売買できる...
“全国でも類を見ない工事現場” 喜連瓜破高架橋架け替え工事の監理技術者に話を聞いてきた
“全国でも類を見ない工事現場” 喜連瓜破高架橋架け替え工事の監理技術者に話を聞いてきた
全国でも例がない工事現場。施工管理上のポイントとは? 前回、喜連瓜破高架橋架け替え工事について、阪神高速の現場監督員の大池岳人さんの記事を出した。今回は、施工業者(JV)の監理技術者である大成建設株式会社の藤本大輔さんに...
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
※本記事は『建設ITワールド』の許諾を得て掲載しています。 「BIMを活用したいけれど、人材が見つからない」「どう始めたらいいの?」—そんな悩みを解決するのが、ウィルオブ・コンストラクション(本社:東京都新宿区)が提供す...
“無理難題の木造改修工事” 施主の思い込みを、逆転プラン提案で打破!
“無理難題の木造改修工事” 施主の思い込みを、逆転プラン提案で打破!
「超ウルトラC」で乗り切った木造の改修工事 木造の改修工事は、新築工事よりも面倒である。 規模、構造にもよるが、くれぐれも施主に不確実な約束だけはしないほうが良い。 木造の一般的な住宅で、間取りを変更し、大きな空間が欲し...

この記事を書いた人

長井 雄一朗
この著者の他の記事を見る
建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
「在来工法7割」の壁を壊せ。日綜産業が新開発した”ちょうどいい”システム吊り足場は新たなスタンダードになるか? 「在来工法7割」の壁を壊せ。日綜産業が新開発した”ちょうどいい”システム吊り足場は新たなスタンダードになるか?

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • インタビュー
  • 「在来工法7割」の壁を壊せ。日綜産業が新開発した”ちょうどいい”システム吊り足場は新たなスタンダードになるか?
  • 施工の神様
  • 技術を知る
  • 「在来工法7割」の壁を壊せ。日綜産業が新開発した”ちょうどいい”システム吊り足場は新たなスタンダードになるか?

コメント(1)

コメントフォームへ
  • - 2026/01/07 18:29

    良い記事だと思います!

    ただもう少し文章は要約して削れるはずです…。

    返信する 通報する

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2026 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様