「省人化」から「協働」へ。ロボットが切り拓く新たな職域
池田氏は、川田グループにおける技術開発が加速している要因について、グループ内シナジーの大きさを強調する。
「カワダロボティクスや川田テクノシステムなど、ロボットやIT展開をしている企業がグループ内に存在していることが大きい。その技術と、実際の現場で施工を行う川田工業とが連携することで、シナジー効果を発揮しながら開発を進められる点が強みだ。各事業会社の知見を掛け合わせ、さらに良いものへと高めていくことが、他社との差別化につながる」
実際の開発体制も、この言葉を裏付けている。プロジェクトの全体企画・マネジメントは池田氏が担い、制御ソフトウェアを中心にシステム全体をクリシュナムラ氏が主導。ハードウェアの研究分野については川田テクノロジーズと共同開発を行うなど、グループの総力を結集した。さらに、港大橋での「EGmobile」開発で実績を残した三毛タッカー氏も、プロジェクト完了に伴い本チームへ合流しており、開発体制はより盤石なものとなっている。
なお、一連の成果は、2025年10月に沖縄県・石垣市で開催された第23回建設ロボットシンポジウム(主催:建設ロボット研究連絡協議会)において、「大型鋼構造製品向けのロボット自動塗装ラインの開発」として発表され、業界内でも高い関心を集めた。
川田工業は、今後もロボット自動塗装ラインを継続的にアップデートし、将来的にクラウドとの連携や生産工程の管理能力付与、SCデッキ以外の製品への活用も図っていく予定だ。
「塗膜厚自動検査ロボットと『ぬり助』の活用により、すべてのパネルの品質を確認できるため、全数にわたり品質を保証できる点は大きな付加価値といえる。さらに塗装工や自動塗装ロボットへのフィードバックをすることで、塗装品質の向上にもつながる。現在は『ぬり助』との連携に留まるが、AIを活用して集まったデータを分析し塗装品質を改善するほか、塗料の廃棄ロスの削減や有機溶剤使用量の最小化を図るなど、SDGsに寄与する取組みを進める予定です」と、池田氏は期待を寄せる。

SCデッキでの塗装の効率化を図り、働き方改革の一角を担う
そして、これらの取組みを通じて、川田工業は国が推進する「働き方改革」の一角を担うため、人とロボットの共存・協働による生産性向上と雇用創出の両立を目指している。今後は技能者だけでなく、自動化システムを改善する技術者や保守担当者、事務所に在席しながら遠隔でシステム操作や工程管理をする技術者など、新たな職域の誕生を期待している。
「熟練技能者の仕事を奪うのではなく、単調な塗装作業はロボットに任せる一方で、技能者には自身の技量やスキルアップを実感できるような作業対象で力を発揮してもらう。また、ロボットやAIを使う新しい分析業務や、分析結果をフィードバックして品質や工程を改善していく業務は新たな職域となり、ロボット等を活用しながら人がより付加価値の高い業務へとシフトしていくことを目指している」(池田氏)
港大橋のなかで、そして富山工場のラインで。川田工業のロボットたちは、人と共に働く新しい未来の景色を、着実に描き始めている。
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