ドヤ街で「川崎」らしさを追求したリノベーション工事
——実際、入社してNENGOでの仕事は?
森井 今は現場監督をやっています。
三ツ橋 前職では現場よりも、監理に近かったんだよね?
森井 そうでした。やっぱり監理よりも現場の仕事のほうが入ってくる知識の質も量もまったく違うので、たくさん勉強になります。NENGOに入社して2年目に、2級建築施工管理技士の資格を取得して、今は実務経験を積んで1級建築施工管理技士を目指しているところです。とはいえ、まだ現場経験が足りず、段取りの悪さで工期が厳しかったこともあります。協力会社の職人さんからも助けてもらって乗り切っています(笑)。
——最近はどんな物件で現場監督を?
森井 川崎市日進町にある「unico(ウニコ)」という複合ビルを手掛けました。もともと食品包材会社の工場兼社員寮だった築54年の5階建てビルのリノベーション工事です。オーナー様がビルの解体・新築ではなく、リノベーションを選んだ理由は、とにかくこの場所の歴史や文化を残したいという想いが強かったからなので、川崎らしさをどう表現するかで苦労しました。
川崎市日進町はいわゆるドヤ街で、近くに競馬場、工場跡地、最近はタワーマンションも増えて、ひとことで言えば、新旧が入り乱れた「カオス」な街です。リニューアルしたビルによって、川崎の地域活性を目指しつつ、オーナーさんの意向をどう汲み取るか、どこまで昔の建物を残し、どこをノリベーションすべきか、上司と真剣に議論を重ねました。外観は歴史を大切にして、あえて以前の色に近しい色にしました。
——設計は?
森井 一部の設計業務は横浜にある建築士事務所(オンデザインパートナーズ)さんに委託しました。自社で設計から施工までトータルサービスを展開したいという考えもありますが、多くの設計士さんとお付き合いして勉強したいという気持ちもあります。NENGOでは、ただ図面通りにリノベーションするのではなく、自分の意見をどんどん発言して、それを反映してもらえる喜びがあります。これは前職ではありえないことでした。
2017年7月に完成した複合施設「unico」は、「発酵してる?」というキャッチフレーズを掲げています。自分がリノベーションを手掛けた建物が、川崎市日進町という多様性の中で、人、仕事、地域の「発酵」につながれば嬉しいです。
前職で疑問を感じていた、もっとお客様とじっくり接して、もっと建物との関係を深く持ちたいという希望が実現できて良かったと思っています。
前職の上司としても、応援しています。