元気な生コンネットワークと、既存の生コン組合の関係は?
日本の生コン工場は、カルテルが認められている。社会インフラの礎を担う生コン工場は中小零細企業が中心なので、国が保護しないと危ない、という理屈である。しかし、これは世界中で日本だけのロジックだ。中小企業の保護とは名ばかりで、大手セメント企業の傘下や、上場企業のグループ会社の生コン工場も多い。
「僕はもともと右肩上がりの経済成長を前提に設計された生コン組合のあり方そのものに限界が生じてきていると思う。生コン組合は、セメント資本都合の価格維持、セメント市場の安定化を優先している印象も強いし、一部では、不当な価格高止まりや、淘汰されるべき企業の保護にもなっているとの指摘もある。現状の生コン市場は、どうしても商社と生コン組合との交渉に委ねられ、組合員は『みんな同じ』が基本原則なので、技術力を磨いても評価される仕組みがない。だって60〜80歳の年寄りがi-Constructionを指導するなんて冗談みたいでしょ?生コンなのに流動性が極めて低い、硬化しきった市場だと、皮肉も言いたくなる。」
しかし、宮本氏は生コン組合を敵視しているわけではない。むしろ逆に、生コン組合に育てられたという感謝の意識が強い。だからこそ、生コン組合の秩序を保つために、GNNという域外の活動をしている、という強い気概を持つ。
生コン業界の異端児にして革命児
「僕は地元の組合では、完全な異端児。GNNばかりやってないで理事会にも来なよと注意される。でも今後、人口減少と共に国内の生コン市場が縮小するのは明らかだというのに、生コン組合は今でも組合員数の維持を目標としている。これはお腹をすかせた猛獣(生コン工場)が何匹もいる檻の中(生コン組合)に一枚の生肉を放り投げるようなもの。だから現行の組合組織では、新時代の生コン業界は保護できない。僕は、生コン組合の秩序を保つためにも、GNNによる新しい生コン業の創造が必要だと信じている。既存流通の生コン需要が激減する局面を迎えても、小さな生コン工場がゆとりをもって経営を維持できれば、それは組合にとっても必ずプラスになる。」
そのため、GNNでは、強くてしなやかな生コン工場の経営に役立つワークショップやWEB交流(テーマごとのメッセンジャーグループ)などにも盛んに取り組んでいる。年3〜4回開催しているGNNの勉強会は、もはや既存の全国組織よりも活況を呈するようになってきた。生コンピタゴラスイッチと称して、複数の重機で生コンをリレーする「遊び」も盛況だった。そして今や、国内の大手ゼネコンや建設コンサルタントに留まらず、海外企業との共同開発の実績も豊富だ。
「GNNは従来型の組織のように、誰かが上げ膳据え膳で全てを用意してくれるような場所じゃない。だからGNNの勉強会で寝ている人はゼロ(笑)。自主的に行動に移さなければ、何も得るものはないし、逆に積極的に自分から情報発信したり、共同開発の仲間を探したりできる。GNNは地域や既存の枠組みを超えたアライアンスであり、一番必要なのは自らの問題意識を根底とした主体性。僕が田舎の生コン屋に入ってから感じていた底辺の苦しみや、下りエスカレーターに乗ってしまった絶望感、そんな僕のような中小零細企業の人たちが主体性を持って連携することによって、それなりの努力の成果が得られる。生コン業者に『主体性』という火をともす仕事が僕のやりがいになっている。」
宮本氏は「生コン」「危機感」「元気」を共通項とするGNNのメンバーに、自社のノウハウもすべてオープンにしている。今回の取材時も、GNNの活動に興味を持ったという複数の同業者が、遠方から長岡生コンクリートへ工場見学に来ていた。
自分と同じような人たちのために、自分の全てを捧げる。——これが今の宮本氏の信条だ。
宮本氏の熱い行動・発言は、生コンポータルで読むことができる。
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宮本さん、マジかっこいい。マペイって凄いな。
良記事。門外漢だが、実態と課題が良く理解できた。
セリエA「サッスオーロ」のオーナー企業で、ツールドフランスのスポンサーとしても有名なイタリアの建材メーカー「MAPEI」社と「長岡生コンクリート」が共同開発した特殊な粉「Re-con ZERO」。建設現場で発生するゴミ「戻りコンクリート(残コン)」に混ぜるだけで再利用可能に。ちなみにMAPEI上級研究員の息子は、長岡生コンクリートに勤務している。
まじかっこいい
GNNを知らないコンクリ屋はもぐりですよ。
プロジェクトXとかガイアの夜明けとか情熱大陸に出てもおかしくないですね。
GNNの噂はよく聞く
良記事!これはおもしろい!
めちゃくちゃ良い記事発見〜
工事で生コンを使用していながら、生コン業界の現実を知らなかった・・・
自然災害が増加する日本ではさらに重要な資材となるはずです。
興味深く読ませていただきました。
大変勉強になりました。