一本化された生コン流通網の呪縛
そもそも生コンクリートは、国や自治体、ディベロッパーなどがゼネコンに工事を発注しなければ、大口の需要が発生しない。しかし実際に工事を施工するゼネコンが、生コン工場と直接取引することはまずない。なぜなら、ゼネコンと生コン工場の間には、大中小の商社、あるいは地場の商社、そして生コンクリート協同組合が入って取引されるのが通常だからだ。
「つまり、『発注者→ゼネコン→商社→生コン組合→生コン工場』という、縦のヒエラルキーで考えれば、生コン工場は底辺に位置し、中間マージンが発生している。正確な統計は存在しないものの、日本の生コンの9割は、こうした生コン組合を介した保守的な形で流通している。ゼネコンにとっても、生コンの供給元を選択する自由度は低い。」
生コン組合に加入していない工場、いわゆる「アウト工場」による直接取引や、スポットと呼ばれる小口の生コン流通も存在するが、多くの生コン工場は、地場の固定客を相手にした業態であるため、一見さんが購入するハードルは高い。例えば、小規模な建設事業者がいつもとは違う土地で仕事をする場合、地域によっては生コン組合が商流を一本化していることもあり、生コンを購入するのに苦労する。
「タウンページを片手にその地域の生コン工場に片っ端から電話して、ようやく購入先を確保できたとしても、与信がないので現金取引が基本で価格も比較的高額になりやすい。こんな既存客しか相手にしない産業が伸びるわけがない。Airbnbやコンビニみたいに、どこでも生コンを買えたっていいじゃないか。」
宮本氏は全国どの地域でも生コンを購入できる仕組みを構築するため、アメリカン・エクスプレス(アメックス)と提携した。Webサイトでアメックスカードのアカウント登録を済ませば、GNNのネットワークを通じて、全国どこでも生コンが買える。しかも、50日間の支払い猶予があるので、建設事業者や専門工事業者にとってはキャッシュフローも改善する。購入金額100円につき、1ポイントの永久不滅ポイントも貰える。
「生コンは建設事業者にとって必要消費材だから、いずれにせよ買う必要がある。生コンの単価を考えると、貯まったポイントで社員旅行や高級車を買うのも夢じゃない。もちろんポイントで生コンも買える。しかし、この仕組みでもっと大切なのは、価格の正当性を判断できるようになること。従来は知らない土地で生コンを購入する際、不当な金額でも生コン工場の言い値で買うしかなかったが、GNNの存在によって価格比較が可能になる。もちろん、GNNのほうが金額が高ければ、違う工場から買えばいいだけ。もう一つの選択肢を提供した意味は大きいと思ってる。」
宮本さん、マジかっこいい。マペイって凄いな。
良記事。門外漢だが、実態と課題が良く理解できた。
セリエA「サッスオーロ」のオーナー企業で、ツールドフランスのスポンサーとしても有名なイタリアの建材メーカー「MAPEI」社と「長岡生コンクリート」が共同開発した特殊な粉「Re-con ZERO」。建設現場で発生するゴミ「戻りコンクリート(残コン)」に混ぜるだけで再利用可能に。ちなみにMAPEI上級研究員の息子は、長岡生コンクリートに勤務している。
まじかっこいい
GNNを知らないコンクリ屋はもぐりですよ。
プロジェクトXとかガイアの夜明けとか情熱大陸に出てもおかしくないですね。
GNNの噂はよく聞く
良記事!これはおもしろい!
めちゃくちゃ良い記事発見〜
工事で生コンを使用していながら、生コン業界の現実を知らなかった・・・
自然災害が増加する日本ではさらに重要な資材となるはずです。
興味深く読ませていただきました。
大変勉強になりました。