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足場の常識を変えた「次世代足場」 エスアールジータカミヤの戦略とは?

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公開日:2018.06.11 / 最終更新日:2024.05.17
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50年も足場業界が変われなかった理由

——髙宮社長の、足場開発への「情熱」はどこから?

髙宮 やはり工事現場での事故をなくしたい。そもそも工事現場で足場を使う必要がなければ、事故は起きないんじゃないかという考えが根本にあります。それを念頭に、もっと施工性を上げていけるんじゃないかと。もしかしたら今後、足場に代わって、ロボットを造るかもしれません。でも今はまだ安全な足場を開発して、それを普及させていかないと。今まで誰も変えようとしなかった足場は、まだイノベーションが始まったばかりなので。

——なぜ不便な足場でも、今までずっと変わらなかったのはなぜでしょう?

髙宮 鉄製の足場は30年以上経っても使えますし、強度の問題も法律上の問題もありません。だから、毎年のように減価償却が済んだ古い足場が世の中にどんどん増えていく。そうすると、足場のレンタル屋は、こういう営業をするわけです。「A社の見積りはいくらですか?1000万円?では、800万円でいいですよ。え?800万円?じゃあ、うちは700万円にしますよ!」と、値段だけの勝負になってしまいます。減価償却が済んでいるから、どれだけ安くても問題ない。極論を言えばタダでもいい。だから、どんどん安かろう悪かろうの世界になっていくわけです。建設会社も、昔の足場を使って、職人さん共々不自由な思いをされているわけですから、本来なら作業効率の悪い足場は、彼ら自身がわれわれに、なぜ積極的に変えていかないんだと不満をぶつけていただかないといけないはずなんです。

そんな価格勝負の世界のままでは、結局、何も生まれず、何も発展しない。ずっと安い足場を使って、価格競争をしていたら足場業界は発展しない。

それなら、足場業界の質を上げればいい、業界発展を目指そう、努力しないといけない業界環境を作り出そうと。そこで、われわれは今まで保有していた大量の足場をすべて、新しい足場に入れ替える方向に、一気に舵を切ったわけです。

——社内に反対の意見はなかったですか?

髙宮 それは大反対でした。減価償却が終わって、タダで稼げるような足場を捨てるのですから当然です。旧タイプの足場で事業をされている会社には、この数年間、設備投資をせず利益を出されているところもあります。われわれも足場を入れ替えなければ、相当な利益が上がっていたかもしれません。しかし、それでは未来がない。

そして、社内の反対を押し切って「次世代足場Iqシステム」への切り替えを断行した結果、今どうなっているかというと、われわれのマーケティング戦略によって、建設会社からも「旧タイプの足場じゃなく、次世代足場を持ってくるように」と指定される時代になってきたんです。こうなってくると、他社メーカーも次世代足場への切り替えをせざるを得ない。今から次世代足場に買い換える会社は、素材価格も上がり、銀行金利も上がってきているので、足場の入れ替えも大変なのではないでしょうか。

「次世代足場Iqシステム」のマーケティング戦略

エスアールジータカミヤ株式会社 代表取締役 会長 兼 社長 髙宮一雅氏

——旧タイプの足場のほうが、価格の面で有利なわけですが、「次世代足場Iqシステム」はどうやって受注を増やしたのでしょう?

髙宮 やはり旧タイプの足場を保有する業者とは正面から対決する構図となりました。旧タイプの足場で事業をしている会社は、何が何でも足場の常識を変えて欲しくないと。だからこそ、安い価格で攻めてくるわけですが、「Iqシステム」も価格を合わせると、同じ価格だったら「次世代足場Iqシステム」が選ばれる。われわれは、最初は値段を据え置いて、旧タイプと同価格でとにかく積極的に貸し出しました。「次世代足場Iqシステム」を普及させるために、できるところまで企業努力をしようと。当時よく社内を説得させるために、ピエトロドレッシングの話をしました。

——ドレッシング?

髙宮 ある日、私の家内がスーパーでピエトロドレッシングを買ってきて、私が「めっちゃ美味しいな、これ」と言うと、「これ、100円で売ってんねん」とかえってきました。「そんな、100円のドレッシング、大丈夫か?」と食べていたら、いつの間にか、わが家にピエトロドレッシングが定着していました。それから、だんだん値上がりして価格が300〜400円ぐらいになっても、手放せなくなりました。それと同じで、「次世代足場Iqシステム」が現場に普及すれば、将来、必ず適正価格を頂けるようになるから、それまでの我慢。使ってるうちに、やめられくなるんです。

——そして、もう旧タイプの足場は敵ではないと?

髙宮 そうですね。次世代足場を使うのが当たり前になってきましたので、ようやく「Iqシステム」と他社の1800mmの次世代足場が競合するようになってきました。当社調べですが、もう次世代足場の比率は足場全体の20%に達して、業界全体として、旧タイプの足場から切り替えようとする流れが完全に来ています。10年以内に大半の旧タイプの足場は、次世代足場に入れ替わってしまうはずです。そうなると適正価格にならざるをえないので、収益も上がってきます。その利益で次に何をするかといえば、われわれはますます安全になるように、さらに足場の改良を繰り返す。そして足場業界のレベルが一層上がっていきます。そうすると一生懸命、安全に対して投資をしていくように足場業界も変わるでしょう。事故が減ると思います。

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