施工の神様 powered by 施工管理求人ナビ
  • 施工の神様とは?
  • 記事掲載・取材をご希望の方へ
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設用語

足場の常識を変えた「次世代足場」 エスアールジータカミヤの戦略とは?

  • インタビュー
  • 技術を知る
公開日:2018.06.11 / 最終更新日:2024.05.17
  • シェア
  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0 コメント
  • メールで共有

半世紀ぶりの足場イノベーション「次世代足場Iqシステム」

——「次世代足場Iqシステム」とは?

髙宮 「Iq(アイキュー)」というのは、知能指数の「IQ」ではなくて「1900」の「19」から生まれたもので、足場の階高1900mm(足場の床から天井までの高さ)を示しています。

われわれがこの「次世代足場Iqシステム」を開発するまで、約50年前から足場の階高は1700mmが基準でした。今でも、建設現場で稼働している足場の約8割は1700mmの足場ですが、この「次世代足場Iqシステム」によって、階高1900mmが足場の新基準になりかけている状況です。

従来の1700mmの高さから1900mmの高さに変更した「次世代足場Iqシステム」

従来の1700mmの高さから1900mmの高さに変更した「次世代足場Iqシステム」

——「次世代足場Iqシステム」が“次世代”たるゆえんは?

髙宮 そもそも、なぜ1700mmが足場のレギュレーションになったかというと、鉄製の足場が日本に導入された当時、日本人の平均身長が約160cmだったからでした。欧米から入ってきた足場は1900mmで、背の低い日本人は手を伸ばしても、上段の足場に床材を設置できない。頭にハチマキ、地下足袋の時代です。

しかし、今や日本人の平均身長は172cmになり、なおかつ現場では安全靴を履き、ヘルメットを被るようになると、現場での身長は180cmぐらいになるわけです。それで階高1700mmの足場に入って、作業や通行、運搬業務をするので、大半の方々が腰痛、頚椎損傷などに悩まされているのが現状です。

でも、それが当たり前になっていて、誰も不満を言わない。本当に足場は、半世紀遅れているんです。そこで階高を上げればいいじゃないかと、われわれが階高1900mmの「次世代足場Iqシステム」を開発したわけです。

——追随してくる同業他社は?

髙宮 「次世代足場Iqシステム」が人気になってくると、大半の同業者が類似品を作ってくるわけですが、1900mmは、そのうち1社だけです。他社製品はどこも階高は1800mm。一気に1900mmまで上げてしまうと、足場を組むときに頭の位置ぐらいまで、重たい床材を持ち上げないといけなくなるから、という理由です。それから既存メーカーにとって、急に1700mmから1900mmにすると「冒険」の域に入るので、中間の1800mmで無難に済ませたいという心理も働くのだと思います。どこまでも足場を組む側、メーカー側の理論です。

そこで私はいつも不思議に思うんです。何のための1800mmなのか?って。アメリカやヨーロッパは2000mmで、日本人も身長が伸びてきているのに、あえて、また1800mmにしようっていうのは、もう明らかに目先のことしか見ていないと。1800mmだと、足場の中に入って作業する方々にとっては、非常に窮屈なんです。やはり、足場を使って作業する人のことを最大限に考えれば、1900mmじゃないと彼らの抱えている悩みは解決できるわけがない。

施工員はどう思ってるんだろう?足場で仕事してる人は不思議に思わないのだろうか?というのが、私の考え方なんです。だから高くすればいいんじゃないか?って。だから、われわれとしては足場の階高を高くして、なおかつ、施工性の弱点も補うため、足場やその周辺部材の素材そのものを軽くしたわけです。今はさらに軽くして、女性でも組めるようにと改良を進めています。われわれのこだわりは、メーカー都合じゃなく、徹底的に使う側に立ってアイディアを出すところにあります。

この「次世代足場Iqシステム」に他にもネガティブなこと、不満があれば、ぜひ教えてほしいと思いながら、それらを改善するために製品の改良を重ねています。

足場レンタルの効率化

——他にも「次世代足場Iqシステム」が、旧タイプの足場と違う点はありますか?

髙宮 従来から標準となっている足場は、床材に隙間があります。その隙間から工事中に例えば、ボルトが落ちて、人に当たるという危険性があります。だから「次世代足場Iqシステム」では、床材の隙間を無くしました。

隙間、出っ張りがない次世代足場

隙間、出っ張りがない次世代足場

それから、一般的な足場の内部には構造上、足元に段差、頭上に出っ張りなどがありますが、「次世代足場Iqシステム」の中は全てフラットで、引っ掛かったり、転倒したりする心配もなく、足場の上で手押し車も押せます。

こうした工夫は、エスアールジータカミヤが最初に取り組んで、今では、足場業界全体が次世代足場を採用せざるをえない環境になってきています。

——「次世代足場Iqシステム」を実際に現場で導入してもらう際、「抵抗」はなかったですか?

髙宮 新しいものを一番嫌がるのは、足場を組む施工者の方たちです。不便であっても、今まで慣れてきた方法が、やっぱり人間はラクで、それを変えられてしまうのは、凄く不安を感じるわけです。

しかし、エスアールジータカミヤには、協力会社の方々とともに足場を施工するチームが社内にあるので、まずはわれわれが足場を組んでみせて、お客様に使っていただく。ここで「使う」というのは、足場を組む方ではなくて、足場の中で作業をする左官屋さんとか、タイル屋さん。そういう方たちは「次世代足場Iqシステム」を一度体験すると、とても喜んでくれるんです。スペースが広い、高さがある、隙間がない、段差がないなど。役所の方からも点検時などに、足場の中を快適に歩きやすいというご意見もあります。

——現場監督の反応は?

髙宮 現場の責任者は、安全かつ計画どおりに工事を終えたいという気持ちが強いです。何か新しいことにチャレンジして事故につながったら、計画が遅れたらとの不安もあるでしょう。ですから、「次世代足場Iqシステム」を使ってみたくても、「もう少し様子を見よう」と思われる方が多く、説得をするには実績を積むしかありませんでした。その点は商品に自信があったので、地道に営業して現在の販売先は200社以上、導入現場は約5000現場と、知名度も上がり、今では安心して使っていただけるようになりました。

足場を組む人にも、足場に乗って作業する人にも、さらに足場を運搬する人にも「この足場良いな」って喜んでもらえる足場が「次世代足場Iqシステム」だと思います。

——運搬の効率も上がるんですか?

髙宮 はい、軽量化に加え、梱包時の容積もコンパクト化しています。突起もなく小さく畳めるので、当社での検証結果では、旧タイプの足場よりも容積は50%以下になります。われわれは全国に30ヶ所以上、合計で20万坪以上の置き場を持っていますが、置き場面積が半減するのは、レンタル事業を営む上で、非常に大きな意味を持ちます。

われわれは総額700億円ぐらいの足場を保有していて、その半分ぐらいが置き場に戻ってきて保管されている状況なのですが、この稼働率をさらに上げて、置き場を減らすことがレンタル事業的には望ましいわけです。それで、稼働率を上げるためには、どうすればいいかというと、足場の部材や種類を減らすことだと。

例えば、旧タイプの足場には、600mm幅、900mm幅、1200mm幅と、3種類のサイズがあって、なぜ3種類かというと、工事によってサイズを使い分けているのです。600mm幅は改修工事やメンテナンス工事をする際に、ビルとビルの間の狭い空間で使い、900mm幅は、スペースを確保しやすい新築工事で使います。1200mm幅は、土木工事でコンクリートを打つとか、足場というよりは支保工で使います。さらに、部材の点数が多いと、それだけ施工の作業が増えます。

そこで、足場のサイズも3種類もいらないだろうと、われわれは600mm幅と、1100mm幅の2種類だけに切り替えたんです。部材点数を減らすと現場作業も効率化し、置き場の面積も減らせるので、これもゆくゆく業界の新しい基準になるだろうと考えているところです。足場のイノベーションへの取り組みで、先陣を切っているのは当社であるとの自負があります。メーカーでありながらレンタル業者でもあり販売業者でもあるので、お客様に商品を使っていただいたご評価やご意見を、開発・製造にフィードバックし、再びレンタル・販売を通じて、改良された商品、新しい商品を使っていただけるという強みがあります。

900幅と1200幅のいいとこ取りをした1100幅の次世代足場

900幅と1200幅のいいとこ取りをした1100幅の次世代足場

次のページ半世紀も遅れてる足場業界
«12345»
  • この記事をシェアする232
  • この記事をツイートする9
この記事のコメントを見る0
こちらも合わせてどうぞ!
ねえ、足場のレベルを確認しないと、どうなるの?(笑)
ねえ、足場のレベルを確認しないと、どうなるの?(笑)
足場のレベルを確認するのは当たり前? ある程度の高さがある足場を組み立てる時は、レベルで1段目の高さを見る事がほとんどだと思います。私も20代でゼネコンに入社以降、何の疑問もなく、1段目をレベルで確認することが当たり前と...
「足場も組めないし、高所作業車も入れない!」難攻不落の解体現場をいかに攻略すべきか?
「足場も組めないし、高所作業車も入れない!」難攻不落の解体現場をいかに攻略すべきか?
解体現場で問われる「状況判断力」と「発想力」 大型体育館の解体工事の現場で直面した「課題」と、それを克服した「アイディア」について報告します。 解体する建物は、地上階が体育館、地下階には両脇に隣接するホテルのインフラ設備...
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
※本記事は『建設ITワールド』の許諾を得て掲載しています。 「BIMを活用したいけれど、人材が見つからない」「どう始めたらいいの?」—そんな悩みを解決するのが、ウィルオブ・コンストラクション(本社:東京都新宿区)が提供す...
「新築施工の会社」は「改修修繕の会社」より偉いのか?
「新築施工の会社」は「改修修繕の会社」より偉いのか?
設計監理を入れた修繕工事はトラブルが多い 私は改修・修繕工事を行う会社に勤め、大規模修繕工事の施工監理を勤めてきた。修繕工事の会社は下請けとして入る場合もあるが、設計監理者の監理のもと、元請けとして修繕委員会や理事会へ出...
中堅の現場監督は、なぜ所長と噛み合わないのか? 立場で変わる「現場の景色」
中堅の現場監督は、なぜ所長と噛み合わないのか? 立場で変わる「現場の景色」
立場が違うと同じものでも見方が違う 建設現場では、建設技術者や建設技能者、専門工事業者、警備員など、実に様々な人々が働いている。所属している会社も違えば、雇用形態も様々だ。そして、同じ施工管理技士であっても、様々な立場が...

この記事を書いた人

『施工の神様』編集部
この著者の他の記事を見る
施工の神様とは、株式会社ウィルオブ・コンストラクションが運営する、「現場目線」の情報を伝える新時代の建設メディアです。

建設業では、しばらくの間、現場の「生の声」が置き去りにされてきました。
長らく3Kと呼ばれてきた建設業は今、国土交通省主導による働き方改革やi-Construction、若手人材の確保育成、資格制度の見直し、地域防災の観点などから、大きな変革期を迎えています。
施工の神様は、施工に関する技術やノウハウ、体験の共有・伝承・蓄積という側面に加え、実際に建設現場で働く建設技術者・技能者の生の声を、建設業界および世間一般に伝えるという役割も積極的に担ってまいります。

個人・企業を問わず、取材してほしい方・執筆協力いただける方・PRしたいことがある方を募集しています。 お問い合わせはこちらへ。
足場の常識を変えた「次世代足場」 エスアールジータカミヤの戦略とは? 足場の常識を変えた「次世代足場」 エスアールジータカミヤの戦略とは?

施工の神様をフォローして
最新情報をチェック!

  • フォローする5388

現場で使える最新情報をお届けします。

  • 施工の神様
  • インタビュー
  • 足場の常識を変えた「次世代足場」 エスアールジータカミヤの戦略とは?
  • 施工の神様
  • 技術を知る
  • 足場の常識を変えた「次世代足場」 エスアールジータカミヤの戦略とは?

コメント(0)

コメントフォームへ

コメントする コメントをキャンセル


コメントガイドラインをお読みになった上で投稿してください。

email confirm*

post date*

あなたも施工の神様に記事を投稿してみませんか?
おすすめ記事
  • 【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

    【髙松建設】「古来の技術と新たな発想を融合する」世界最古の企業”金剛組”再生でベスト・プロデュース賞を受賞

  • 点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

    点数稼ぎに走るのは「なんか違う」

  • 「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

    「暗闇の先の光見て」コロナ禍の”希望のトンネル貫通写真”が心に響く

  • 「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

    「地元の人間の意地。ただ、それだけ」 家族を失ってもなお、愛する石巻の復興に命を懸けた現場監督

  • 建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

    建設業界をイヤになった主任技術者は”造園”へ急げ!

  • 人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

    人と機械はどう補完? これからの橋梁点検

注目のコメント
  • 権力を振りかざす世間知らずの勘違い野郎どもは本当に消えていただきたいです。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 公務員なんて、甘ったれのわがまま人間の巣窟。特に、バブル世代にパワハラとかするのが多い気がする。

    「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】
  • 34℃で湿度がどれくらいか判断出来ないが今日びの38℃超え猛暑に比べればまだまし。 皆が言う体調管理なんかで対応出来る範囲を超えている。 朝一番から警戒レベルMAXが普...

    最高気温36℃の”猛暑日”。舗装工事は中止すべきか?【熱中症対策】
  • 勝手に喫煙休憩するな→即飛び蹴り シュールなコントみたいだな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 辞めていいんじゃねーか? 下請けの奴隷ならともかく、大手ゼネコンの現場監督ならやりたい奴いくらでもいるだろw

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 若くても無能なら要らない

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • そんな無能はやめた方が現場のためだよ

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 飛び蹴りは普通に罪にならないか?

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 休憩するなら水分取るだけで充分なのにねwタバコまで吸いに行き注意されると即飛び蹴りとはヤニ中毒は危険だな

    「暴力も必要かも」大手ゼネコンの若手現場監督に、飛び蹴りした鳶職人
  • 結局本人の申告によるものでしかないので、無理がありますよ。 すべての作業員さんにカメラつけて録画でもするならば別ですが。 公共工事にしろ民間工事にしろ、昔からすれ...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 熱中症チェックシートは本当に不毛。 挙句の果てに、それを書いていても熱中症が発生したら「管理が甘かったからだ!」といってチェック項目を増やしたり、記入内容の真偽を...

    「チェックシートで熱中症を防ごう!」 それができたら誰も苦労しない
  • 建設業界のパワハラと言うよりは特定の会社の特定の上司のパワハラ。

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 返信した人の日本語もわかりません。 やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 建設業界って 何処に業界のパワハラをかいてるの? やり直し

    元自衛官が建設業界に転職したら、”パワハラの巣窟”でした
  • 所長が部下の人間性を否定するような現場がうまく回るはずがない。 現場は信頼関係で成り立っている。 現場の雰囲気は主に所長がつくりあげあてしまう。そのような管理職が...

    65歳以上と外国人は、全員”安全弱者”のヘルメットバンドをつけろ!? 納得できない話
  • この著者は神様とは思えないです まず、職人は工程を縮めたいんじゃなく無駄が嫌いなんです。それは管理者もだと思いますよ。 無駄=損害ですからね。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • スーパーゼネコンの監督とは仲良くなれないな。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • まったく現場の事を理解していない! もっと色んな事を経験して、勉強して下さい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • 不仲は横柄で生意気ななゼネコンのセコカンが原因だと思いますけどね。 舐められない様な教育受けているので仕方ない所もありますが。 職人さんも見栄えよりも工数へらして...

    「不仲説」 現場監督と職人
  •  不仲なら発注しない、請負わない。 お互い仕事できなくなればいい。

    「不仲説」 現場監督と職人
  • キャリアを考える
  • インタビュー
  • 失敗を生かす
  • 技術を知る
  • エトセトラ
  • 資格を取る
  • 建設
    用語
【PR】施工管理技士の転職に特化した求人サイト
施工の神様ロゴ
  • 施工の神様とは?
  • 原稿募集
  • 取材ライター募集
  • 運営会社
  • PR・プレスリリース
  • プライバシーポリシー
  • 広告掲載について
  • お問い合わせ
Copyright © 2025 WILLOF CONSTRUCTION, Inc. All Rights Reserved  リンクフリー
施工の神様