足場レンタルのパイオニア

エスアールジータカミヤ株式会社 代表取締役 会長 兼 社長 髙宮一雅氏
——エスアールジータカミヤの売上の内訳は?
髙宮 足場のレンタル業が、売上高の5割以上を占めて、足場や周辺部材の製造・販売が約4割。残りの1割がその他、アグリ事業、住宅建材の製造販売などです。
昔は建設会社に足場をレンタルするだけでしたが、今は足場の組み立て・解体する施工サービスや、足場の図面作成・強度計算などCAD製図も手掛けています。足場の配達や引き取りも子会社で事業化し、アグリ事業では、足場の金属加工技術や構造データ解析を、農業用ハウス事業に応用しています。
——なぜ足場は「販売」よりも「レンタル」のほうが主流なんでしょう?
髙宮 昔は建設プロジェクトが決まると、大半の建設会社は、自社で所有する足場を持参して現場へ向かいました。そして、足場が足りなければ新しく買って、使い終わった後は、自社の倉庫に持って帰って保管する。そんな調子で、保管倉庫がどんどん増えたり、維持管理のコストも膨らんだりすると、建設会社も大変なので、それをサポートできないかというところから、足場のレンタル業が各地で発祥したわけです。われわれエスアールジータカミヤも関西のパイオニア企業で、建設会社が現場で使いたいという商品を積極的に採用、レンタルしてきました。
——創業当時から、足場のレンタル業を?
髙宮 1969年6月に大阪市で私の父親が「株式会社新関西」という会社を設立したのが始まりです。当初は、和歌山県から木材のパネルや足場丸太、算木、コンパネ、三寸角など木製品を仕入れて、建設会社へ販売していました。まだ「レンタル」という言葉が世間に浸透する前でしたが、その当時から足場のレンタル業も展開していました。そこへ鉄製の足場が世の中に出回り始めて、木製ではなく鉄製の足場を中心にレンタルするようになり、高度経済成長期を通じて企業成長していきました。私が2代目社長に就任したのが2002年で、その前後から、新たな足場の構想を練り始めました。
——レンタル事業から、足場の開発に乗り出したキッカケは?
髙宮 自社で足場を開発できる、ということは、建設業界に新しい風を吹かせて、イノベーションを起こせるわけです。建設現場の環境をどんどん刷新できる。しかし、レンタル業だけでは、それはできない。当然、足場メーカーのほとんどがレンタル部門を持っていて、自社商品の現場への浸透を試みますが、それはそれでレンタル会社とは違うのでスピーディに展開していくのも難しい。メーカーだと足場の開発後、レンタル会社を相手に「これ買っていただけないですか?」とお願いして、仮にそのレンタル会社が採用しても、今度はレンタル会社が「ちょっとこれ使ってみてください」と、現場で足場を組む人にお願いしないといけない。
じゃあ、前例はないけど、レンタル大手のわれわれが、逆にメーカー業に取り組んで、足場の標準を変えていこうと。エスアールジータカミヤなら、規模感もあり、営業力もあってプロモーションには自信があったので。
そして足場の開発に取り組んで、2013年にリリースした「次世代足場Iqシステム(アイキューシステム)」は、すでに建設現場の新しい標準になりつつあるわけです。国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS[ネティス])にも登録しています。