法面工事のプロは、自分が満足できない仕事はしない
前田さんにとって、印象に残っている現場は、「点取り屋」で有名なあるM現場監督のもとでの法面作業。「Mさんから『点数を取りに行くぞ』と言われ、気合が入った」(前田さん)。この現場には篠崎さんも参加していた。「プレッシャー、良い緊張感があったという意味で、私も印象に残っています」(篠崎さん)。結果は高得点で、知事賞を獲得。以降、前田さんの仕事に対する意識はMさんのお気に入りとなり、Mさんと一緒に仕事をする機会が増えた。
「その仕事で飯を食うということは、プロであるということ。自分も常にプロでありたいと思ってやってきました。私にとってプロとは、自分が満足できない仕事はしないこと。若い頃からそういう感じでずっとやってきましたね」(前田さん)。このプロ意識が、法面の仕上がりの「丁寧さ」につながっているようです。「私が見るのは、山に対するハリの通り具合い。ジーッとは見ません。全体的なカタチをパット見て、違和感があったら、直します」(前田さん)。

サクセス工業株式会社の篠崎敦史さん、前田浩士さん
篠崎さんは、前田さんの作業について、こう話します。「前田さんはとにかく、割付のバランスにすごくこだわります。見る角度などによって、仕上げ方が違ってくるので、その辺も意識しながらやっていく。他の作業員の仕事に対しても、気に入らなかったら、黙って直しています(笑)」(篠崎さん)。役所の工事評定項目には、「出来栄え点」というのがありますが、前田さんの感性で仕上げた現場は、ほとんどが満点だそうです。ところが、前田さん自身は、最近まで「出来栄え点」の存在自体、知らなかったそうです。法面作業に限らず、職人ワザとはそんなものなのかもしれません。
前田さんにとって、法面作業の魅力は「なにもないところに、自分で割り振りを考えて、完成させる喜び」にあるそうです。「完成したモノを眺めているのが、至福のとき」だとも語っています。仕事に喜びを見出すことが、その道で秀でるための第一歩なのかもしれません。
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法面という言葉自体、はじめて知りましたが、こういう仕事をプロとして生業にしてくださる方に感謝です。
仕事の意識もかっこいい!
大雨警報や土砂災害警戒情報など、最近はよく耳にします。「土砂崩れで、法面ごと流されました」…など、斜面の崩落は、大きな被害となります。
災害を防ぐ、また 最小限に食い止めるためには、土木、そして 法面などの基礎工事が何より重要ですね。
地味で、ありふれた景色にしか見えないため評価されにくいけれど、とても大切な工事だと 、理解しました。
これからは 路肩の景色も、工事に関わった方々に感謝と尊敬を持ちながら、気にして見ることにします。
また、解るひとには、良いものはきちんと伝わります。どうぞ、誇りを持って、これからも良い仕事を続けてください。それが、国土全体の、そして私たちの未来の安全に繋がることですから。