建設コンサルに陰口しか言えないゼネコン
ゼネコンの人間たちは、その場では何も言わなかったが、事務所に帰って来るなり、Iさんを痛烈に批判した。
「何を無茶な事を言ってるんだ!海外で打ち放し仕上げなんて、出来るわけないだろ!」
「コンサルは何も分かってない。他の事も含め、あまりに要求が厳し過ぎる!」
例の傲慢なゼネコンOBにいたっては「ただでさえ工期が遅れてるんだ!これ以上手間が掛かることを言ったら、こっちにも考えがある!」と声を荒げるほどだった(ゼネコンOBの「考え」の中身は後述する)。
が、ゼネコンの人間たちは、陰では威勢がいいが、誰一人として、建設コンサルタントに直接話をしようとしない。
私はIさんの言ってる内容のほうが筋が通ってると思っていたし、ゼネコンのメンバーも全員それが分かってるから、面と向かって何も言わない、というか、言えないのであった。
海外施工現場のストレス
ここには、海外現場の弊害が見え隠れしている。
日常の生活を含め、普段のストレスが冷静な判断を狂わせる。つい小さな事でイラつき、それが溜まっていく。
海外施工現場でのこうした感覚は、体験しなければ分からないだろう。海外赴任の経験が少ない技術者には気をつけていただきたい点だ。
結局、屋外階段は承認まで1ヶ月、打設完了までさらに2週間もかかった。
小さな階段だが、コンクリートを打ち終わって型枠を撤去した時、Iさんは「あの状況から良くここまで持ってきました。事務所内では色々あったそうですがご苦労様でした」と言った。
建設コンサルタントのIさんも事情は薄々感じていたのだ。