終わらない鉄筋検査・是正「もう勘弁して!」
建設コンサルIさんの検査は、神経が休まらなかった。
やっと屋上の配筋検査になった時の話だ。
検査は、型枠の検査から始まり、例のごとくIさんから散々指摘を受ける。日本と同じ精度を要求され、目違い、角の破損、隙間の手直しを指示され、その再々検査に合格するまでに3日を要した。
やっと鉄筋の検査になったが、それもスラブの下端筋の検査だけをまずは行う。梁鉄筋の検査は先に済んでいるのだが、梁底の清掃など弱みはいくらでもある。
Iさんの検査にも大分慣れてきたとはいえ、何を言われるかとビクビクしながら検査を受ける。これほど緊張して検査を受けるのは何十年振りだろうと思いながらIさんの後に付いてまわった。
スラブ上端筋の検査の時、図面にもなく、その予定も一切ない支持鉄筋と補強鉄筋を設置するように指示を受けた。定位置を確保するための鉄筋だが、あったほうがいいのは良く分かる。しかし、そんな事を言い出したらキリがない。しかも、そのための作業員、材料、日数が余計にかかることになる。
事務所に戻って、支持鉄筋と補強鉄筋の設置について報告すると、今度はゼネコンの人間が「どうして余計な事ばっかりアイツは要求するんだ!」と私に食って掛かる。が、私に言っても、どうにもならない。
一通り鉄筋検査が終わっても、Iさんはまだ周囲をキョロキョロ見回し、まだ何か指摘する事はないか探していた。
私は思わず、「Iさん、もうこれ以上は勘弁して貰えませんか?」と言った。まさしく私の本音だった。Iさんは、しばらく考えてから「じゃ終わりにしますか」と、やっと検査が終了した。
結局、その指示事項の是正まで、また3日かかった。その後、コンクリート打設と続き、何とか躯体工事は完了した。