真面目な建設コンサルタントほどツラい
現場から5分程の事務所の裏に、喫煙所があった。私は煙草を吸いながら、Iさんと色々話す機会があった。
Iさん自身も、日本の建設コンサルタント事務所から、ガーナに単身赴任してきている。各コンサルタント会社は、それぞれJICA(ジャイカ)等からの仕事を受け、国内及び世界に人を送り込んでいる。
私も過去に一度だけ、コンサルの仕事をした事がある。あるアジアの国で、日本のゼネコンが施工してる現場だった。基礎の段階で当たり前の指示をするだけで終わったので、コンサルの難しさが分かったとは言えないが、現地に行く前に言われて印象的だったのが「あまり厳し過ぎないように、最低限の現場監理にして下さい」と言われた事だった。
最近はあまり厳し過ぎると、施工会社からJICA等に苦情が行き、その結果、その建設コンサルタント会社は使われなくなる傾向があるらしい。前述のゼネコンOBの考えとは、このことだった。
Iさんもコンサル会社から「厳し過ぎる」と相当指摘されているらしい。「どうするんですか?」と尋ねると「正しい事を言い続けるだけですね」と即答だった。真面目な建設コンサルタントほど、孤独でツラい仕事なのかも知れない。
Iさんとは、このガーナでの現場が終わってからも、メールでの付き合いが続いている。ときどき冗談が通じないこともあるが、今でも色々教えて貰っている。
次回は、もっと大きなハプニング、この建築現場で起きた事件について書きたい。
(つづく)