コンクリートの減水率の違い
減水率の違いも見ておこう。そんなに難しいものでもない。
JISで規定されているのは、AE剤が6%以上で、減水剤が4%以上。AE減水剤はそれを単純に足した数値で10%以上。
高性能AE減水剤は、現存する混和剤の中で最高級の性能を有する。その減水率は18%以上と群を抜いている。強烈な減水率、強烈なスランプ保持性能を持ち、高強度コンクリート(60~100N/mm2)には不可欠の存在となっている。より強力な「静電気的反発作用」と「立体障害効果」で減水効果、凝結遅延を促す。
ここで大事なポイントをひとつ。18%以上の減水率とはどういうことを意味するのか考えてほしい。
そう。凝結を遅延させる目的がもともとにあるので、「促進形」というのは存在しないのだ。
ここで、もう一度表を確認しておこう。

コンクリート用化学混和剤を用いたコンクリートの性能品質
コンクリートの高性能減水剤と流動化剤とは
さて、残りは「高性能減水剤」「流動化剤」だ。これらは似た性質を持っており、仲間と思ってもらって構わない。
高性能減水剤の特徴は3つ。
- 非常に高い減水率(12%以上)
- 添加量を増しても、空気を連行しない
- 経時変化が大きい
経時変化が大きいということは、流動化した状態を長く保持できないということ。そういった理由から、一般の生コンプラントでは使われず、コンクリート製品工場で使用されている。
流動化剤の特徴は、基本的に現場で後添加することである。主成分が高性能減水剤からできているので、経時変化も大きい。保って30分がいいとこだろう。だから工場添加なんてもってのほか。荷卸しの直前にトラックアジテータに投入して、スランプを増大させる。また、現場での後添加が目的なので、減水率の規定がない。というより、規定のしようがないのだ。
最後に一点、高性能減水剤・流動化剤の特異な性質を紹介しよう。
他の混和剤は、温度が高いほど効きが悪くなる性質を持つ。効きが悪いということは、添加量も増え経済的ではない。しかしこの性質が、高性能減水剤では逆転する。コンクリート温度が高いほど、減水効果は高まるのだ。流動化剤も高性能減水剤が主成分なので、この性質を引き継ぐ。