道路土工の法面施工における丁張レスのICT施工
次に紹介する「カイゼン」事例は、一般的な道路土工である。
もし皆さんが、下記の現場の施工をICT土工で実施することになったら、どう取り組むであろうか。
当然、丁張レスで施工をするために、ICT建機を導入して施工するのを疑う人はいないはずである。
しかし実際に、道路土工で切土施工を実施した経験のある技術者は、すぐに気付くはずである。
そう、道路土工の法面施工では、小段排水が必須であることに。
切土はICT建機で実施しても、小段排水を施工するために、必ず雨水排水のための側溝布設に丁張を設置しているはずである。
そもそもICT建機を導入して、丁張レスによる施工が効果を上げられるのは、ICTを使っていることが最大の理由ではなく、ICT施工を行うことで丁張がいらなくなり、施工プロセスが途切れずに連続で流せることが重要なのである。そのために必要なものがICT建機である。
すると残念ながら、上記のような現場では、法切りはICT建機で実施し、側溝布設は従来通りの丁張で実施している現場がほとんどだと思われる。
Hololensの電子水糸が誕生した現場
そこで、この現場ではその課題を解決するために、側溝布設時においても丁張レスを行うためのアイデアを考えた。
そのアイデアとは、Microsoftが販売しているHololensをつかって仮想現実(MR)技術を駆使することであった。そこまではおおむね誰でも考えられるアイデアであることは認めよう。
通常であれば、MR技術を活用して、排水側溝をモデリングし、画面通りに布設するためにこのようなモデルを準備するのが一般的であろう。
排水側溝の色はコンクリート色なので、誰でも最初は上記の写真のように灰色のモデルを作ってしまうだろう。
だが、実際にこのモデルで現場で見てもらったら、「まったく見えない!」と怒られた。そう、保護色になってしまって見づらいのである。ならばと思い、側溝のモデルを緑や青などにしてみたが、見えづらさはあまり変わらなかった。
そこで、現場からどんどんカイゼン意見が出てきて、結果的に下記のような形に落ち着いた。電子水糸の誕生である。
実現場でのキセイ概念の打破とカイゼンはこのようにして生まれ、本当の意味でi-Constructionが実現場で実践されている事例である。
施工サイクルの連続性を維持した生産性向上を
ICTやICT建機を使うことがi-Constructionだ、そう紋切り型に考えている方がなんと多いことか。
本当のi-Constructionとは、キセイ概念を打破し、カイゼンすることによって、施工サイクルを止めることなく、連続性を持たせた生産性向上を確立することである。
こうした境地にたどりつくためには、やはり現場での実践がものをいう。
2018年12月25日に発表された第2回i-Construction大賞の受賞者たちも、このような対応を進めている企業や団体が受賞したのではないだろうか。
今まさに、建設業全体として生産性を向上させるためにこのような取り組みが求められている。
いざ、実践あるのみ!
次回は、このような前向きな取り組みの中にも、まだまだ課題が多くあるi-Constructionの状況に触れてみよう。
この規模ならわかるよ。
でも、んーって言っている人達は街場の中の工事でC等級、いってもBとかが主。あまり響かない。
やはり現状のICT施工には合う合わないがあるね。
ついに読みたい記事になってきた。これをタダで読めるのはいいね。施工の神様は建設メディアで一番影響強くなってきたよね。応援してます。
面白い。もっと具体的な話を聞きたいです。