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JICAの海外インフラ支援で培った、ドイル恵美さんの”しなやか”な生き方とは?

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公開日:2020.03.16 / 最終更新日:2022.08.16
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修士号取得のため、アジア工科大学に入学

――青年海外協力隊で国際協力の面白さに目覚めたわけですね。

ドイル恵美さん そうです。ただ、青年海外協力隊はあくまでボランティアだったので、物足りないところがありました。もっと責任のある、大きな仕事がしたかったので、JICAで専門家として働きたいと考えるようになりました。

ところが、そのころは学士しか持っていませんでした。JICAで働くためには、最低限、修士号が必要になります。それで、タイにあるアジア工科大学の修士課程に入りました。クラスメイトは多国籍で10カ国ぐらいいたでしょうか。全寮制で、毎晩夜中まで図書館で一緒に勉強をしたり、グループ課題に取り組んでいました。とても楽しかったですし、各国に散らばった今も強い友情で繋がっています。そこで、交渉力も鍛えられましたね。

修士課程修了前に、JICAの経済基盤開発企画調査員として任用されました。ちょうどJICAとJBIC(国際協力銀行)の統合の時期で、インフラ関係の仕事が一気に増えた頃でした。工学系かつ英語で交渉可能な女性は、当時JICAには少なかったからでしょうか、運よくポストを得ることができました。

アジア工科大学卒業式に出席したドイル恵美さん(右から3人目)

――海外で大変だった思い出はありますか?

ドイル恵美さん 幸せの国ブータンの後、インドに赴任したときの話です。着任して数日後に、現地技術者10名が日本に来ることになっていたのですが、出発直前になって、大臣が「日本には行かせない」と言い出したのです。ビザの関係で日本大使館にお願いにいったり、大臣に直談判しに行きました。

結果的には、出発の2時間前になってOKが出て、無事日本には来たのですが、このときは本当に眠れないほどドキドキしましたね(笑)。ただ、こういう大変な事態になればなるほど、脳にアドレナリンが出るんです。いろいろな対策を考えて、それがうまくいったときの快感は例えようがないです。強いて言えば、「ゲームみたいな感覚」ですかね(笑)。

建設の世界は、海外も男社会

――京都大学の博士課程に進んだ理由は?

ドイル恵美さん 建設の世界は、日本に限らず、男社会です。年配の方も多いので、女性だとなかなか「戦えない」のです。海外でも、交渉の場に出たときに「お前、女なんだから黙っていろよ」みたいな雰囲気は必ずあるんです。名前を呼ばれるときも「Miss」、「お嬢さん」って感じですね。この歳でも(笑)。

ブータンにいたとき、博士号をお持ちの女性技術者の方とご一緒する機会がありました。彼女は現地政府の高官だったのですが、周りの男性の対応が明らかに違っていたんです。名前を呼ぶときも、ちゃんと「Dr.」を付けていました。

無償資金協力によって架替えられたブータンの橋梁。現地関係者にジョイントの清掃を支持するドイル恵美さん。

「やっぱり博士号がないと、対等に付き合えないかな」と思い、一念発起して京都大学の博士課程に入学しました。博士課程ではコンストラクション・マネジメントを研究したかったので、日本で第一人者である小林潔司先生がいる京都大学を選び、結果的にはアカウンタビリティ論で博士号を取りました。

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コメント(1)

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  • - 2020/05/15 19:40

    すごい方がいらっしゃるんですね。同じ女性として感動しました!

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