貧しい国では、インフラは社会や経済活動の前提条件
――ドイル恵美さんにとって、インフラとはどのようなものですか?
ドイル恵美さん インフラとは、経済・社会活動の前提条件でしょうか。最近は書類仕事が多いので、時々自分が何を目指しているのか見失う時も多いですが、たまに現場に行くと、やはり楽しいですね。
途上国の場合、水道のプロジェクトなんかで、水道水が出て子どもたちが喜んでいる姿を見ると「頑張って良かったな」と実感することができます。日本だと水道はあって当たり前なので、そういう姿を見ることはまずできませんが、やはり現場の緊張感は好きです。
修士課程では、「貧困と農村道路」について研究しました。貧しい人は、新しく道路ができたとしても、自動車を持っていないので、直接的に大きな恩恵を受けるわけではありません。
ただ、それまで山道を歩いて学校に通っていた子どもにとっては、より楽に学校に歩いて行けるようになり、村にトラックがやってきて、多くの農作物を売ることができるようになります。
特に貧しい国では、インフラはアクセシビリティという点で社会や経済活動の前提条件になると考えています。行き過ぎたインフラ開発は環境問題を引き起こしますが、基礎インフラはどんな国にとっても必要不可欠なものだと考えています。
日本は、すでにインフラが整っているので、誰もありがたみを感じなくなっているのかもしれませんね。
男だから女だからではなく、個々の特性を活かした生き方を
――建設業界で働く女性に対して、メッセージを。
ドイル恵美さん 日本は、建設業界に限らず、「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」という「べき論」が強いところがあります。日本では「旦那さんが働かないで、大丈夫ですか?」と言われることがありますが、私は外で働くのが好きで、主人は専業主夫が向いていて、そのほうがうまくいくので、そうしているんです。「男だから女だから」ではなく、得意なほうがすれば良いと考えています。
私は「国際化」という言葉は正直好きではありませんが、「多様化」という言葉は好きです。男女という枠組みにとらわれず、個々の特性を活かした生き方、働き方というものにもっとフォーカスすれば、「日本社会はもっと伸びていくのにな」と感じています。
建築や土木をやっていると、3次元でモノを考えられるようになります。これは、人生でも絶対に使えるスキルですね。建設業界で働く女性には、いろいろな障害があると思いますが、常にその3次元の可視化を活用しながら、しなやかに乗り越えていってほしいと思っています。
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すごい方がいらっしゃるんですね。同じ女性として感動しました!