10~20代の造作大工の数が半減
国土交通省発表の「2018年建設労働需給調査」によると、オリンピックの開催決定や消費税率改定に伴う個人住宅の駆け込み需要が発生した2013年をピークに建設需要の高まりが続いている。
しかし、建設業界の高齢化は一向に解決せず、特に若年層の木造住宅の下地から仕上げまでを担う大工職人である「造作大工」の減少は著しい。2018年度の大東建託現場における10~20代の造作大工の数は、2012年度比で約半数まで減少するなど深刻化している。
建設職人の地位、向上、処遇改善はまさに喫緊の課題で、待ったなしだ。そこで大東建託は2017年度から、「匠プロジェクト」を始動。建設職人のスキルの向上などを目指したプロジェクト第一弾として、優秀な建設職人を「匠マイスター」として認定している。
「匠マイスター」とは、大東建託協力会会員で、対象業種16種の中から、豊富な知識と経験を持つ作業員の模範となる認定された建設職人を指す。現在、約1,500人の建設職人が登録されている。主に安全、品質のけん引役、若手技能者の育成、技術の継承、生産性の向上を担うことが狙いだ。
そのため、技能選手権は、匠マイスターが技術を披露する絶好の場であるとともに、若手大工は貴重な技能を吸収できる貴重な機会でもある。
競技内容は1~2坪の天井・壁・床の大東建託施工基準に則った施工で、安全面や施工品質精度を100点満点の採点により評価した。司会者からルール説明、参加する匠マイスターの紹介やラジオ体操が終わった後、3時間にわたるしのぎを削る技能選手権がスタートした。
匠プロジェクトとマイスター創設の狙い
匠マイスターたちが技能を競っている間に、大東建託執行役員工事統括部長の泉和宏氏に話を聞いてみた。

泉和宏氏(大東建託執行役員 工事統括部長)
――匠プロジェクトの狙いは?
泉氏 3年前、「まずは現場の品質を高度化しよう」という思いから、匠プロジェクトが始まりました。第一段階として、建設職人の方ご自身で検査までできるようにと考えていたのですが、建設職人の中でも技能のバラツキがあり、検査や品質も高い優秀な建設職人をより拡大すれば、全体的な質も向上するのではと考え、匠マイスターを創設しました。
現在、1,500名が匠マイスターに登録していますが、次に倍、さらに倍々を目指し、6,000~8,000名に増やしていきたいと考えています。
――技能選手権に参加する資格は?
泉氏 造作大工であることや職長、高い技能を持ちほかの作業員の模範になっていること、大東建託の施工基準に基づき、施工検査を実施している点や施工効率の向上に向けた改善提案を大東建託に行っていることが資格要件です。
加えて、協力会には各支部があり、そこからの推薦もポイントです。支部の会長などとも協議をして決めていきます。