週休2日に伴う賃金減少を「国が補填」
——建設業の休日が少ない、という問題については?
国交省 建設業は全産業平均と比較して、年間336時間も多く働いています。製造業と比較しても年間105時間も労働時間が多いです。その主な原因は、他産業では当たり前になっている週休2日をとれていないからです。
そこで国土交通省、農林水産省、防衛省の直轄工事では、率先して「週休2日対象工事」を発注しています。国土交通省が2017年度に実施した「週休2日対象工事」の件数は約2,550件でしたが、2018年度はさらに増やします。地方公共団体に対しても、実施件数の拡大を働きかけています。
——週休2日にすると、建設技能労働者の賃金が減少してしまう問題については?
国交省 2018年度から現場閉所の実績に応じて、労務費最大1.05、機械経費最大1.04、共通仮設費最大1.04、現場管理費最大1.05を補正します。
――3月1日から新しい設計労務単価が適用されていますが、週休2日の実施が確認できれば、さらに上乗せしてくれるという理解でよろしいのでしょうか?
国交省 週休2日の実施が確認できれば、労務費が上乗せ補正されることになります。建設技能労働者の賃金体系は日給月給制が多く、週休2日になると賃金が下がるというマイナスの面もありますが、そういった点の解消につながればと思います。また、共通仮設費や現場管理費も現場の実態を踏まえて、補正率の見直しが行われています。
これらに加えて新たに週休2日を達成した企業についても、工事成績評定の加点などの措置を取ることも盛り込んでいます。こうした取組みを、国土交通省以外でも実施してもらうように、地方自治体にも要請しているところです。
——国と地方自治体との温度差はないですか?
国交省 週休2日モデル工事に取り組んでいる地方自治体は増えていますが、まだ共通仮設費の補正などについては道半ばです。今後、国土交通省の各地方のブロック毎に行う監理課長会議などで、「建設業働き方改革加速化プログラム」の実施を促していきたいと考えています。
——民間工事では、発注者の理解が必要ですが?
国交省 民間工事の工期設定の際に参考にしてもらうため、昨年8月に「適正な工期設定等のためのガイドライン」を策定しました。これは受注者と発注者が相互に協力しながら取り組むべき事項をまとめたものです。そして昨年秋以降、電力・鉄道・不動産・ガスなどの民間発注団体と連絡会議を開催し、実態調査を実施したり、ガイドラインに基づいた週休2日工事の取組を促したりしています。
現在は、国の補助金を受けている民間工事など、モデル工事になりそうな案件を模索している段階です。また、今年度の上半期中には、この「適正な工期設定等のためのガイドライン」を改訂し、国直轄工事での最新事例や、民間発注工事での留意事項などを新たに盛り込んで、より民間工事で活用しやすいようにします。