外部無足場工法「ノスキャップ工法」の提案方法
――施主はゼネコンに設計・施工で委託するケースもありますが、「ノスキャップ工法」採用では上流からの提案が必要では?
添田 確かにこの無足場工法は、施工段階からの提案では採用が難しいと感じています。やはり、上流の設計段階から提案することが必要です。そのため、設計・施工委託のほうが採用しやすいです。社内では設計・施工の採用物件を探索中です。
「ノスキャップ工法」は、人手不足の状態であっても工事が進めやすいというメリットがあるので、人手不足解消、生産性向上に着目すれば、今後も本工法の採用に積極的になると思います。技術の改良を重ね、無足場工法で施工する物流施設を増やしていきたいと考えています。
大久保 大和ハウスには標準化を推進する社風がありますから、どういう工程を組めばメリットが活かせるかを考えていくことが重要です。今後、お客様への提案として工法採用を含めたトータルプランニングを訴えていきたいです。
いわゆるマルチテナント型物流倉庫の提案については、標準的な工法とすることは可能だと思います。お客様から「なにかいいアイデアはないですか」と言われた際、「ノスキャップ工法」の採用により工期が短縮できるなど、お客様の立場に立った提案を技術開発の側面からサポートしていきたいです。
――超高層では無足場工法が一般的ですが、さらなる標準化の推進により、足場が不要になる日が到来するのでしょうか?
大久保 将来的に足場をなくすことは技術的な目標にしています。「ノスキャップ工法」はその足掛かりです。今後、他の用途や小さな規模の建物でも無足場工法の開発に取り組んでいきたいです。
しかし、現状では足場があることで安定した品質と安全な作業環境が担保される面もあり、これをトレードオフすることはできません。安全確保の仕組みを考案しつつ、足場を減らしていく技術を考案していきます。
技術開発が先導する「建設現場の働き方改革」
――標準化が進展すると、現場の働き方改革にもなりますか?
大久保 この4月から現場を「4週5休」で作業することにしております。来年、再来年と1日ずつ休日を増やして、2021年4月には4週8休(完全週休2日制)にすることを目指しています。「ノスキャップ工法」の開発段階でも、最初はコストダウンを重視していましたが、人手不足という時代の流れの中で、省人化・省力化を図ることにも重きを置くことにしました。
最近では他にも、鉄骨の柱や梁をロックウール・モルタルで耐火被覆吹付するロボットを開発しました。通常、鉄骨の柱や梁をロックウール・モルタルで耐火被覆吹付するには3人の職方が必要ですが、ロボットを使用することで職方を2人に減らすことができ、耐火被覆工事の工期も約20%削減できました。
添田 フジタの現場も、現段階では「4週5休」に取り組んでいます。一般社団法人日本建設業連合会が「週休2日実現行動計画」を策定し、2021年度までに週休2日を定着させる目標を打ち出しています。
――研究開発が「働き方改革」に貢献する役割は大きいですね。
添田 多くのゼネコンが現場の作業性改善や労務負荷を低減するために研究開発を進めています。われわれも職人だけではなく、施工管理者の業務も、AIやIT技術などを駆使して、サポートしていくことが求められています。その点、大和ハウスグループとなり大和小田急建設と合併したことにより、大きなシナジー効果を発揮してきています。