山形県庁に在籍中、公認会計士試験に合格
――国土交通省退職後、次の職場として選ばれたのは?
八木 家内の実家の所在地である山形県の県庁に事務系の行政職として入庁しました。ここで文転しておりますが、山形県庁では農業土木、電力、建設業の分野の仕事をしておりましたので、実質的には業界は何も変わっていません。
山形県庁在籍中に公認会計士試験に合格した後、大手税理士法人、大手監査法人で公認会計士やコンサルタントとしての修業を積んだ後、2018年5月に現職である大和証券グループへと転職しました。
――土木業界からの転職先として、証券業界は異色ではないですか。
八木 異色だと思いますし、証券業界で土木業界出身者にお目にかかることはまずありません。ただ現職では、大和証券グループの自己資本を原資としたエネルギー・インフラ・資源の分野の投融資の案件形成等に従事しておりますので、実は土木業界のど真ん中に位置する業務です。
実は、証券会社は土木業界に似たところがあります。いずれも収入や経常利益が景気動向に左右されやすく、その不確実性が大きいところです。そこで、大和証券グループでは、景気に影響されにくいエネルギー・インフラ・資源の分野への投融資に参入して新しい安定収入源を獲得することを企図して、2018年7月27日にそれを主な業務目的とする「大和エナジー・インフラ株式会社」という新会社を立ち上げたところです。
大和証券グループは、新会社を通じて1,000億円のリスクマネーを本投融資に入れていくことを予定しております。今後、私自身も新会社に異動し、引き続き本投融資の案件形成等に従事する予定です。
――インフラへの投資というと、国土交通省での業務に共通するところがありますか。
八木 民間企業の投資が国土交通省時代と違うところは、やはり費用と収入に対する意識ですね。もちろん国土交通省でも便益分析をしますし、不採算案件を対象にすることが多いのもありますが、民間では自分の責任で担当案件を儲かる仕事にしなければならない。この責任感と緊張感ですね。
――このような投融資を仕事として選ばれたのは?
八木 自身がプレイヤーになって投融資の実施を行うことができるところに魅力を感じました。国土交通省で、国を動かす組織の一員として全力を注いだことは貴重な経験でしたが、「この案件は自分が引っ張ってきた。この案件は自分がストラクチャリングした」という自分自身の達成感は、今の仕事の方がいっそう強いと思います。
今後は、世界中においてエネルギー・インフラ・資源の分野の投融資がいっそう活発になると思います。土木業界の方々には、証券業界にも土木業界出身者がプレイヤーとして第一線で活躍できる場が用意されていることをお伝えしたいです。
課題は山積みだけど、それを改めて確認出来た当連載は良かったと思います。
土木学会も変わるべき。
いかにも頭良さそう