売上減少の建設企業は、北陸、中部、近畿、九州に本社
――未上場建設業者1万2,240社の売上高の地域性は。
瓦田 今回の調査では、公共工事の推移などと整合性がとれている訳ではありませんが、結論として「北陸」「中部」「九州」に本社を置く建設企業は減収となりました。2016年度は熊本地震が発生した年で、本来であれば建築・土木の復旧・復興需要があったはずです。にもかかわらず、九州地区が前年度比1.8%減にとどまったというのは、通常の工事が減少しているということでしょう。
規模を見ると、関東に本社を置く企業の2016年度売上高は合計で8兆3,239万円、前年度比2.8%増と全国と比較して突出している工事量です。2014年度の売上高は、7兆7,132万円ですから、この2年だけで6,000億円ほど伸びた計算になります。四国全体では、2016年度が4,870億円ですから、この2年間で伸びた売上高が四国を超えています。東京五輪で各地方にも恩恵が及ぶのかなとも思いましたが、数字を見る限り、関東一極集中の構図になっています。特に首都圏に集中しているのは間違いありません。
北陸地区に本社を置く建設業者の売上高合計は1兆2,279億円で、前年度比2.3%減となっていますが工事自体が減っているわけではありません。調査対象は建設業者が本社を置いている地域ですので、その地域の工事量と売上高は必ずしも一致しません。3.11の東日本大震災の復旧・復興工事でもみられましたが、工事は東京本社の大手ゼネコンが受注し、地方建設業者は下請けに入るものの、それほど恩恵を受けていないのではと思われるケースがありました。