工務店の親方が「技術の勘」を直接指導
――実習を教えているのは、どんな先生ですか?
長谷川 実習はとても大事なので、工務店の親方に来ていただいています。在来軸組工法についての実測調査術、道具の手入れを含む道具術、伝統的な大工技術を習得させます。
実習による「技術の勘」をゆっくり、染み込むように育てています。
親方は口頭だけでは伝えきれないことがたくさんあるので、実践指導はかなり重要です。日本建築専門学校の魅力は、教師陣による実践指導にあると言っても過言ではありません。
——具体的には?
長谷川 共同実習課題として、3~4坪の和室の在来軸組工法で小屋を製作もしています。学生が小屋納まりを独自に設計・施工していきます。
現代の木造建築では、和室の重要な要素である敷居・鴨居を取り入れないことが多くなりました。しかし、日本建築専門学校では伝統木造建築にこだわりを持っていますし、経験も大事ですから、3年生の実習では和室に見立てた敷居・鴨居を取り入れた小屋製作の実習も行っています。
神社を再建した日本建築専門学校の学生
――学生が神社も製作していると聞きました。
長谷川 静岡県・三島市に滝川神社という神社があります。この神社は、平成25年(2013年)に木造平屋建ての建物が全焼し、多くの地域住民が再建復興を望んでいました。
神社を管理している三嶋大社から状況を聞き及んだ伊勢神宮のご厚意で、遷宮に合わせて解体保存されていた古材を譲り受けることになりました。
ただ、地域の方には神社再建ができる人がおらず、誰が施工を行うべきか相談を重ねていました。最終的に日本建築専門学校の学生に施工を担当してもらおうと白羽の矢が立ったんです。
課外実習の一環として、一間社流造りの神社の製作にあたりました。これは特別な縁がないとできないことですね。
建築に限ったことではないが、今は大学や専門学校がただの「就職予備校」に成り下がってる
本質を学ばせ、真に社会で活躍できる人材を育てようとする姿勢を他の学校も見習うべき
素晴らしい!
日本建築専門学校
:このような木造建築に特化した学校があることを今まで知りませんでした。日本の伝統建築である木造建築が廃れて行くことに非常に不安を感じていましたが、このような学校が日本全国に開校してくれることを心から願います。
そうすることで、木材が現在よりも流通し、脱二酸化炭素に取り組んでいくことで、日本も世界から注目され再度日本が世界に誇れる国になるのではないでしょうか。そうなってくれることを心から願っています。